住宅ローンの頭金の目安は?いくらが妥当?

住宅を購入するときには、多くの人が住宅ローンを組みます。
住宅ローンを組む場合、考えなくてはいけないことの一つに、頭金を入れるか否か、という問題があります。頭金ゼロでも借入ができる住宅ローンもある中で、そもそも頭金はどのような役割があり、いくら位が用意すればいいのでしょうか?
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1.住宅ローンの頭金、その役割とは?
住宅を購入するとなれば、数千万円となることも多く、人生の中でも大きな買い物になります。もちろん、中には全額を自己資金で支払う人もありますが、多くの人が住宅ローンを利用します。
住宅ローンを利用する場合、以前は物件価格全てを借りることができなかったために、一定の自己資金を支払う必要がありました。頭金とは、その自己資金のことを指します。しかし最近の住宅ローンは、フルローンといって頭金なしでも借りることができる商品もあります。
では、なぜわざわざ頭金を入れる必要があるのでしょうか。頭金を入れるメリットを考えてみましょう。また頭金を入れることでデメリットが生じるならそれも知っておく必要があります。
2.頭金を入れるメリット
住宅ローンの借入額を少なくすることができる
頭金を多く入れればその分借入額を少なくすることができます。金利や返済期間などの条件が同一であれば、借入額が少ないほうが毎月の返済額も、総返済額も少なくなります。
借入金利が低くなる
固定金利の住宅ローン商品の代表格である「フラット35」は、物件価格に対する融資率によって金利が優遇されます。具体的には頭金が物件価格の1割以上あれば融資率「9割以下」として、頭金がゼロや物件価格の1割に満たないのであれば融資率は「9割超」として区分されます。
2022年5月時点での借入金利水準では、両者の金利の違いは次のようになっています(【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下)。
融資率 | 最も多い金利 |
---|---|
9割以下 | 1.480% |
9割超 | 1.740% |
このように頭金の額や割合によって金利差が出るときは、頭金を入れるメリットは非常に大きなものになります。
住宅ローンの審査に通りやすくなる
フラット35のようにあらかじめ頭金の割合によって金利差があることを明示していなくても、住宅ローン審査の過程で頭金が多いことが有利になることはあります。具体的には優遇金利の幅が大きくなったり、借入限度額が増えると言ったケースです。反対に頭金ゼロでは審査が通らないということもあり得ます。より借り入れ条件を良くする手段として、頭金を用意することは有意義な方法です。
3.頭金を入れるデメリット
手持ち資金が少なくなる
頭金は手持ちの預貯金を使うケースが大半です。そのため、頭金の額が増えれば増えるほど預貯金は減少します。住宅購入後に病気やけが、リストラや転職で収入が下がる等の不測の事態が起こることも十分に考えられます。こうしたケースに備え緊急資金として生活費の3か月分、理想としては生活費1年分程度、手元に残しておいたほうが良いでしょう。リスクを考慮せずに頭金を入れすぎると、そのリスクが顕在化したときに大きな影響を及ぼす可能性があります。
住宅ローン減税の恩恵が少なくなる
住宅ローン減税は、住宅ローンを借り入れている人の年末残高の額に応じて所得税(+住民税の場合も)を控除する制度です。控除率は0.7%なので、たとえば年末残高が2,000万円あれば14万円の控除となるわけです。頭金を多くいれ借入額が少なくなれば、年末残高もその分減らすことができますが、その結果として住宅ローン減税で得られる恩恵は少なくなります。
4.頭金が600万円違うときの返済プランの変化
頭金の額が変わることでどのように返済プランが変化するのかをシミュレーションしてみましょう。ここでは3,500万円の物件を頭金100万円と700万円で購入するときの違いです。借入条件はどちらも金利1.8%、借入期間30年間、元利均等返済とします(金額はおおよその額です)。
頭金 | 借入額 | 毎月返済額 | 総返済額 |
---|---|---|---|
100万円 | 3400万円 | 12.3円 | 4,403万円 |
700万円 | 2800万円 | 10.1円 | 3,626万円 |
差額600万円 | 差額600万円 | 差額2.2円 | 差額777万円 |
同じ3,500万円の物件であっても、頭金次第で実際の支払金額はこのように差が出るのです。
5.住宅ローンの頭金、目安はいくらか?
では、住宅ローンの頭金は、目安としていくら程度用意すればよいのでしょうか。頭金は多い方がいいという訳ではなく、ネットなどでは住宅の価格に対しで1~2割が相場という声も聞かれますが、相場や平均金額が気になるところ。実際はどうなのか見てみましょう。
住宅金融支援機構による「住宅ローン利用者調査(2021年10月)」では金利タイプごとに融資率の利用割合をまとめています。頭金の相場を知るヒントとなるかもしれません。
変動型で90%超100%以下が突出していますが、いずれの金利タイプでも70%超~100%以下の範囲で全体の5割~6割超を占める結果となっています。この結果をもとに物件価格ごとの頭金の目安額を示したのが以下の表です。
物件価格 | 頭金10% | 頭金20% | 頭金30% |
---|---|---|---|
2,000万円 | 200万円 | 400万円 | 600万円 |
2,500万円 | 250円 | 500万円 | 750万円 |
3,000万円 | 300万円 | 600万円 | 900万円 |
3,500万円 | 350万円 | 700万円 | 1,050万円 |
4,000万円 | 400万円 | 800万円 | 1,200万円 |
4,500万円 | 450万円 | 900万円 | 1,350万円 |
5,000万円 | 500万円 | 1,000万円 | 1,500万円 |
5,500万円 | 550万円 | 1,100万円 | 1,650万円 |
6,000万円 | 600万円 | 1,200万円 | 1,800万円 |
6,500万円 | 650万円 | 1,300万円 | 1,950万円 |
7,000万円 | 700万円 | 1,400万円 | 2,100万円 |
7,500万円 | 750万円 | 1,500万円 | 2,250万円 |
8,000万円 | 800万円 | 1,600万円 | 2,400万円 |
8,500万円 | 850万円 | 1,700万円 | 2,550万円 |
6.頭金なしで家を買うのは是か非か
頭金を入れるメリットデメリットや、頭金の金額の違いが総支払額に及ぼす影響などを見ていると、頭金なしで住宅ローンを借り入れることに対してネガティブなイメージを持つかもしれません。しかし必ずしも頭金なしでローンを組むことがダメなこととは言い切れません。
たとえば投資実践者で年2%以上の利回りを得られる自信があるのであれば、頭金として手持ち資金を使わずに投資に回したほうが、借入金利との相殺で見てもなお、資産はプラスになります。
これから住宅ローン以外にも借り入れの予定がある人も、過度に頭金を入れて手持ち資金を減らすことはマイナスになるかもしれません。たとえば教育費をローンでまかなう場合、その金利は住宅ローンとは比較にならないほど高くなります。住宅ローンはそもそもが低金利なうえに住宅ローン減税の制度もありますから、お金を借りる手段としては非常に好条件です。
このように借りられる範囲はできるだけ住宅ローンで借りておいて、手元資金をより効率の良い使途に当てるという考え方は十分理に適ったものですから、その結果として頭金なしとなってるのであれば過度な心配はいらないでしょう。
7.住宅購入時に頭金を入れる際の注意点
住宅ローンの頭金を決めるにあたっては手元に残るキャッシュ、毎月の生活費、返済期間、貯蓄額、子供の教育費のかかる時期などを考慮し、長期的に無理のない計画を立てることが大切です。
住宅ローンの頭金や借入額を決める前に、将来の家族の収入、支出、貯蓄残高を一覧にしたキャッシュフロー表を作成して、20年超の長期的視野に立って、将来にわたって赤字になることがないかを確認した上で決定するとよいでしょう。
また、頭金の他にも諸費用として、火災保険料や登録免許税などの登記費用、不動産取得税、仲介手数料などを支払うための現金が必要になることも忘れてはいけません。諸費用は、新築で物件価格の3~7%程度、中古で物件価格の6~10%程度必要になるといわれています。 貯金をすべて頭金に使うような無理はせず、手元にいくら残すか慎重に考えましょう。
8.住宅ローンの頭金、貯めるのが先か?
最近は、頭金なしのフルローンのみならず、諸費用を含めた費用を借りられるオーバーローンというものもあります。このように頭金がなくとも住宅ローンが組める訳ですから、頭金を貯めるのに数年掛かっている間に、いい物件を逃してしまっては、機会損失になるとも考えられます。
近年、新築で購入した物件が中古になってもそれほど相場が下がらない、あるいは購入価格よりも高くなる、といったケースがあります。こうした場合、頭金が貯まることを待つよりも、買ってしまったほうが良いとも言えます。
一方で、万が一物件を売却しなければならなくなった時のことも考えるならば、残債はより少ないに越したことはありません。頭金なしで家を買った場合、当面の間は、残債が物件の売却価格を上回るリスクがあります。物件にもよりますが、こうしたリスクを考慮すると、物件価格の1~2割の頭金を入れておいた方が安心感は高まります。
住宅ローンの頭金は、勢いで決めてはいけません。住宅購入に関わるお金をはじめとした、家族の将来計画とともに、長期的視野に立ち、リスクと貯蓄残高のバランスを考えて慎重に検討しましょう。
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