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知らないと大損する!? むずかしくない 不動産契約の話

最大400万円損するかも!?「住宅ローン控除」が受けられない落とし穴とは

最大400万円損するかも!?中古マンション購入で「住宅ローン控除」が受けられない落とし穴

知らないと大損する!?
不動産契約で陥りがちな落とし穴を、どこよりもわかりやすく解説する連載です。

今回の相談者は、夫と幼稚園に通う子どもがいる主婦のアズサさん(仮名)。今、築10年の中古マンションを購入し契約を結ぼうとしていますが、「実はちょっと心配ごとが……」と、弁護士のユウキ先生のもとを訪れました。

さて、どんな相談なのでしょうか。

登場人物

相談者"

アズサさん(32歳)
夫と幼稚園に通う子どもの3人家族。夢のマイホームに住むことを日々楽しみにしている。中古マンションの購入を決め、今、契約を結ぶ段階。

弁護士"

ユウキ先生
不動産の揉め事解決を得意としている弁護士。不動産に詳しくない人にもわかりやすい説明で人気。

その物件「住宅ローン控除」を受けられる?

「住宅ローン控除」とは、マイホーム購入時に住宅ローンを利用する場合、一定の割合に相当する金額が所得税から控除される制度のことをいいます。

今回は、受けられると思っていた「住宅ローン控除」が、実は適用されなかったという、住宅ローン契約の落とし穴に関するお話です。

アズサさんの友人がリノベーション済みできれいな中古マンションを「お買い得!」と思って買ったところ、住宅ローン控除が受けられず、かえって損してしまう事態に!今、アズサさんが購入しようとしている中古マンションが「住宅ローン控除を受けられない物件だったらどうしよう……」と心配になり、ユウキ先生に相談に来たようです。


私が今購入を検討している中古マンションで、住宅ローン控除を受けられるか心配です。どうしたらいいのですか。

お友達は、住宅ローン控除の条件を事前にチェックしていなかったようですね

「住宅ローン控除」とは?

住宅ローン控除は、新築や中古のマイホームを買う場合や改築する場合に、ローン残高に応じた金額が所得税から差し引かれる制度です。つまり、住宅購入や改築のためにローンを借りたら、一定期間税金が安くなるのです。
※所得税よりも控除額が高い場合、住民税からも一定の金額を差し引くことができます。

<住宅ローン控除の概要>

入居の年から10年間、下記のうち、一番低い金額が税額から控除されます。

  1. 年末の住宅ローンの残高×1%
  2. 納めるべき所得税額+住民税額(住民税で使える金額は上限あり)
  3. 40万円

つまり、入居の年から10年間、最大年間40万円(10年で最大400万円)税金が安くなる、と言うことになります。
※令和元年10月~令和2年12月までに入居する場合、控除期間は13年間となります。

住宅ローン控除の条件とは?

どうして友達は、住宅ローン控除が受けられなかったんですか?

住宅ローン控除を受けるには、決められた条件を満たさないといけないんです。

<新築の場合の主な条件>

(1)床面積の1/2以上が、自分の住宅…(A)
(2)床面積50平米以上240平米以下…(A)
(3)借入人の所得が3000万円以下
(4)ローンの返済期間が10年以上
(5)建築日又は取得した日から6か月以内に入居

さらに中古の場合は以下の条件も満たさないといけません。

<中古の場合の主な条件>

(6)耐火建築物(マンション、鉄筋コンクリート造など)は、取得の時点で築25年以内…(B)
(7)耐火建築物以外(木造建築物など)は、取得の時点で築20年以内又は一定の耐震基準…(B)
(8)贈与や、同一生計の親族からの購入でない

でも、こんな条件が揃っているかどうかなんて、どうやって調べればいいんですか?

上記の条件のうち、中古マンション購入時には、(A)と(B)に関して、登記簿謄本できちんと確認する必要があります。

そもそも登記簿謄本ってなに?どこでもらえるの?

登記簿謄本には、土地や建物の所在地や構造、面積、所有者や抵当権設定の記録・現状が記載されています。

受けとり方は2種類あり、(1)登記所(法務局や、法務局の支局、出張所)の窓口で交付申請を行い受け取る方法と、(2)法務局の「登記・供託オンライン申請システム」から交付のオンライン請求をし、登記所の窓口で受け取るか郵送してもらう方法です。

ちなみに、登記簿謄本という言葉が一般的に浸透し使用されていますが、登記事項証明書が正式名称です。

登記簿謄本のココをチェックしよう!

先生、私が今購入を検討している中古マンションの登記簿謄本を確認して欲しいです!

●アズサさんが購入しようとしている中古マンションの「登記簿謄本(一部)」

特に注意して確認すべき箇所を、以下の赤字部分(A)と(B)で記載しています。

条件A:床面積が50平米以上240平米以下

住宅ローン控除が適用されるためには面積条件があり、床面積が50平米以上240平米以下までの住宅でないと住宅ローン控除が適用されません。

このとき注意しなければならないのは、契約時の書類(売買契約書や重要事項説明書)に記載されている面積が、登記簿謄本に記載されている面積と違う場合があること。というのも、床面積の測り方には「内のり面積」と「壁芯面積」があるからです。
「内のり面積は」は、壁の内側から対角の壁の内側までを測ったもので、「壁芯面積」は、壁の中心から対角の壁の中心までを測ります。

登記簿謄本に記載されている面積は、「内のり面積」なので、売買契約書の記載が「壁芯面積」でぎりぎり50平米というときなどは、登記簿謄本では50平米切ってしまう可能性があります。

床面積が住宅ローン控除の条件ギリギリである場合などは、登記簿謄本で確認しましょう。

条件B:中古マンションの場合は、建物の築年数や耐震基準

住宅ローン控除が適用されるのは、耐用年数が過ぎていない住宅です。
マンション(鉄筋コンクリート造など)であれば「築25年以内」、木造ならば「築20年以内」という条件があります。

「築年数が古いけれどリノベーションされていて、きれいだし、価格も安くてお買い得!」と飛びつくと、築年数が25年以上で住宅ローン控除が適用されず、かえって高くついてしまったということになりかねません。

鉄筋コンクリートか木造かの確認には、登記事項の「構造」を、築年数の確認には登記事項の「原因及びその日付」をチェックしましょう。

なるほど、そうすると、今私が購入を検討している中古マンションは住宅ローン控除を受けられるんですか?

「構造」が鉄筋コンクリート、「原因及びその日付」が平成21年5月20日で新築されたことが分かります。住宅ローン控除の条件としては築25年まで認められるので、令和元年7月時点では、築11年となり、住宅ローン控除を受けられることが分かりますね。

あー、よかったです!これで安心しました。

なお、住宅ローン控除には、この他にも改築の際に適用される条件や、細かい条件があります。契約前に弁護士や税理士に相談し、損をしないようにしましょう。

今回のポイント

住宅ローン控除を受けるために、登記簿謄本でチェックすべきポイントです!

  1. 床面積が登記簿謄本で50平米以上240平米以下か。
  2. 構造が鉄筋コンクリートか木造か。
  3. 鉄筋コンクリートなら築25年以内・木造なら築25年以内か。

監修:熊谷祐紀弁護士

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