連載
知らないと大損する!? むずかしくない 不動産契約の話

「売り主が置いていったエアコンが故障…」代金は支払ってもらえる?中古マンション購入の落とし穴を弁護士が解説!

「売り主が置いていったエアコンが故障…」代金は支払ってもらえる?中古マンション購入の落とし穴を弁護士が解説!

知らないと大損する!?
不動産契約で陥りがちな落とし穴を、どこよりもわかりやすく解説する連載です。

今回の相談者は、夫と幼稚園に通う子どもがいる主婦のアズサさん(仮名)。今、築10年の中古マンションを購入し契約を結ぼうとしていますが、「実はちょっと心配ごとが……」と、弁護士のユウキ先生のもとを訪れました。

さて、どんな相談なのでしょうか。

登場人物

相談者"

アズサさん(32歳)
夫と幼稚園に通う子どもの3人家族。夢のマイホームに住むことを日々楽しみにしている。中古マンションの購入を決め、今、契約を結ぶ段階。

弁護士"

ユウキ先生
不動産の揉め事解決を得意としている弁護士。不動産に詳しくない人にもわかりやすい説明で人気。

契約前に設備チェック&「付帯設備表」を確認しよう

アズサさんの友人が、購入した中古マンションに、一昨日引っ越しをしたところ、「売り主が置いていったエアコンが動かない!」と、困っているそう。

アズサさんが今購入を検討しているマンションでも、エアコンなどの設備を売り主に置いていってもらい、少しでも出費を抑えたいと考えているようですが、「売り主が置いていったエアコンが動かない!」という場合、どうなってしまうのか不安になり、ユウキ先生に相談に来たようです。


友人は、「売り主がエアコンを置いていく」という約束だったので、それも考慮しての価格でマンションを買ったらしく……。この場合、売り主に新しいエアコンの代金を払ってもらえるのでしょうか?

一昨日引っ越したということは、入居してすぐにエアコンが動かないと気づいたのですね。それなら、まだ間に合いますよ。
今回は、売買契約書に加え、「付帯設備表」を見ておく必要があります。

「付帯設備表」とは?

「付帯設備表」とは、購入するマンションの設備のうち、何を買い主に引き渡すのか、またその設備が故障していないかといった状態を記載する書面です。
売買契約書の別紙として契約締結時に渡されます。

契約書のココをチェックしよう!

●売買契約書

特に注意して確認すべき箇所を、以下の赤字部分①~③で記載しています。

●付帯設備表

チェックポイント①「付帯設備表」の設備の有無で「有」になっているか

中古マンションの引き渡しの場合、「残置物なし」が原則なので、エアコンや給湯器も全部撤去されるのが基本です。

ただ、給湯器などがないと引っ越してすぐにそのマンションで暮らせないですし、エアコンなどは処分費用もかかるので、売り主としても置いていきたい場合が多いです。

先生、「付帯設備表」のどこを確認すればいいんですか?

買い主としては、残していって欲しいものが「付帯設備表」で「有」になっているか、撤去して欲しいものが「無」になっているかを確認する必要があります。
内覧したときにその場にあったものが「有」ではなく、買い主に引き渡すもの(マンションに残していくもの)が「有」と記載されるので、注意が必要です。

「付帯設備表」は売買契約時に渡されるものなので、その場だけで確認するのは難しいです。内覧に行くときに、以下についてよく検討し、内覧のときに状態を見ておくことが大事です。

  • 自分達が引っ越すときに、何を持っていくつもりなのか
  • マンションで使えるものがあれば使いたいのか
  • 新品にしたいので売り主に撤去して欲しいのか

その設備が使えるのかどうか、使えるとしても状態がよいのかを確認した上で、自分の希望を伝え、契約締結前に「付帯設備表」のドラフト版(下書き)を見せてもらって、希望通りになっているか確認したほうがいいですね。

チェックポイント②「主要設備」で故障・不具合の記載がないか

友人のように、希望通りに残してもらえたれど、いざ入居してみたら使えなかったという場合もありますよね。

そうですね、今回のアズサさんのお友達のように、設備としては希望通り残していってもらえたのですが、いざ入居してみたら「故障していて使えない!」というトラブルはかなり多いです。

このような場合、「付帯設備表」の「故障・不具合」の欄に何も書いていなかったり、「無」と記載してある「主要設備」であれば、「故障はありません」と売り主が保証していることになるので、修復費用を売り主が負担します。

ただし、それが「主要設備」か否かが問題です。

「主要設備」とは、以下を指します(「付帯設備表」の赤枠部分)。

  1. 給湯関係(給湯器、バランス釜)
  2. 水回り関係(台所セット、浴室設備、洗面設備、トイレ設備、洗濯機用防水パン)
  3. 空調関係(冷暖房機、床暖房設備、換気扇など)
  4. その他(インターホン、ドアチャイム)

売り主が、修復費用を負担するのは、上記の契約書の記載であれば、これらのみとなります。

「主要設備」ではない、収納関係(つり戸棚、下駄箱など)や建具関係(網戸、戸など)についても修復義務を負わせたいなら、契約書で「その他設備」も対象に入るようにする必要があります。

でも、「主要設備」だからといって、必ず売り主が修復費用を負担してくれるわけではありません。

チェックポイント③引渡完了日から7日以内

設備が故障していたときに売り主が修復費用を負担してくれるのは、この契約書なら、引渡しから7日以内に請求があったものだけです。
つまり、土曜日に引き渡しを受けたら、翌日の日曜日から起算して7日目の翌週土曜日までに請求しなければいけません。

引っ越しから1週間はあっという間に経ってしまうので、すべての設備を点検するには、「引っ越し翌日のこの1時間で全部動かしてみる」と決めてしまうのが手です。

とにかく冷暖房設備、照明、ガス給湯、水回り、戸だな、戸の開閉などを「付帯設備表」片手に片っ端から使ってみる。

特に季節によって使わないもの(冬のクーラーや網戸、夏の暖房や床暖房)はあえて動かしてみないと引渡しから半年以上経って使おうとしたら動かないということが起こります。

床暖房などは、床をはがして修理が必要だったり、完全な入れ替えが必要だったり費用もバカになりません。

「付帯設備表」は、不動産会社などが立ち会って検査をしつつ記入するということは一般的にしません。売り主側も夏に売買する際に、昨年冬は暖房機器は普通に使えていたから、と悪気なく故障していないと記載していることが多いので、引っ越したらすぐに点検をしましょう。

「付帯設備は一切保証しない」となっている契約もあるので、注意が必要です。
今回のお友達の場合、「付帯設備表」の「冷暖房機」が「有」という記載になっており、「故障・不具合」欄には何も記載がない場合であれば、引き渡しから7日以内に請求すれば故障の修理費用を売り主に負担してもらえますね。

ただ、エアコンが古すぎて部品などがなく、修理ができないため新品に取り替えなければならない場合があります。

そのような場合でも、残されていたエアコンを同じ中古のエアコンと交換する費用しか売り主は負担しないので、新品のエアコンの代金全額をもらうことはできません(同様の判決:東京地裁平成26年12月9日判決)。

この他にも、「付帯設備表」に記載のないものが補修の必要がある場合(売り主がソファを移動させたら棚に穴が空いていたなど)を想定した契約書の修正や、「付帯設備表」末尾に記載の「特定保守製品」の注意などがありますので、今回のアズサさんのように契約前に弁護士に相談したほうがよいでしょう。

今回のポイント

  • 契約前の内覧で「設備のうち何を残してもらうのか」「故障はないか」をチェック
  • 「付帯設備表」のドラフト版(下書き)を契約前にもらい、希望通りになっているか
  • 「付帯設備は一切保証しない」という契約になっていないか
  • 売り主が修復の責任を負う期間を確認
  • 引き渡しを受けたら、すぐに全ての設備をチェック

監修:熊谷祐紀弁護士

オウチーノニュース編集部

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