【土地売却したら税金はいくら?】計算方法と節税対策を解説!


土地の購入では消費税がかかりませんが、土地を売却するときには税金がかかることをご存じでしょうか。
せっかく大切な土地を売却するのであれば少しでも節税したいところ。そのためにはまず、どのような税金の種類があるのか知っておきましょう。
税金の種類によっては特別な控除が受けられる場合もあり、条件を知らないと損をすることがあるからです。早速土地の売却に伴う税金の種類からそれぞれの節税方法までご説明していきます。
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土地売却時に課される4つの税とは?
土地を売却した際には、以下の3つの税が課されます。
- 所得税
- 住民税
- 印紙税
- 登録免許税
登録免許税は土地や建物を登記する際、国に納める税金を指します。
この中で、「所得税」と「住民税」については、土地を売却したときに得た利益(譲渡所得)の金額に応じて課税されるもので、利益がなくマイナスになる場合は課税されません。また、不動産売却時の「所得税」と「住民税」は、分離課税と言われ他の所得とは分離して課税されます。
「印紙税」は契約書に貼る印紙代として徴収されるもので売却金額によって納付される額が異なります。
それでは具体的に、所得税・住民税・印紙税の計算の仕方や節税方法を見ていきましょう。
節税対策の要は譲渡所得にかかる「所得税」と「住民税」
土地を売却する際に得た利益のことを「譲渡所得」と言い、この譲渡所得に対して、「所得税」と「住民税」が発生し、支払うことになります。
実際の課税対象額は、土地の売却収入から購入費などを含めた取得費、譲渡に掛かった仲介手数料などをはじめとした譲渡費用、そして、後述する特別控除額を引いた額です。課税対象額に税率をかけて所得税や住民税を計算します。税率は次の所有期間に応じて異なります。
税金の種類 | 長期譲渡所得 | 短期譲渡所得 |
---|---|---|
所得税 | 15.315% | 30.63% |
住民税 | 5% | 9% |
合計 | 20.315% | 39.63% |
東日本大震災を理由とする復興のための財源確保を目的としてつくられた「復興特別所得税」として、平成25年から所得税の2.1%相当が上乗せされています。
所有期間とは、土地の取得の日から引き続き所有していた期間をいい、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものは長期譲渡所得として、支払う税金は所得税15.315%、住民税5%の計20.315%。
一方、5年以下の場合は短期譲渡所得として、所得税30.63%、住民税9%の計39.63%が税額となります。
短い間に土地を売却するほど税金が高くなるので、投資や資産運用を目的とした売却でなければ、所有期間を延ばすことが節税対策として有効です。
・譲渡所得の計算式
取得費には、主に以下のものが含まれます。
・購入費、建築費
・購入時の税金(印紙税、登録免許税、不動産取得税等)
・仲介手数料
・司法書士報酬
・測量費、整地費、建物解体費
・設備費、改良費
・一定の借入金利子等
譲渡費用には、主に以下のものが含まれます。
・仲介手数料
・印紙税
・建物解体費
・測量費用
・違約金
・借家人に支払った立退料
・借地権の名義書換料
・譲渡所得の計算例
購入価格が5,000万円、購入時諸費用が150万円
売却価格が5,500万円、売却時諸費用が180万円の場合
5,500万円 -(5,150万円+180万円)=170万円
プラスになった、170万円を基にして税額を計算します。
この時、譲渡所得がマイナスになった場合には、所得税・住民税を支払う必要はありません。確定申告の必要もありません。
また、取得費・譲渡費用として引けるものには、「土地の購入代金」、「仲介手数料」、「契約書への印紙代」などがあります。
譲渡所得で特別控除が出る条件
上述したように譲渡所得には特別控除があります。例えば、公共事業目的に土地を売却すると5000万円、売却した土地が自己居住用財産なら3000万円が控除されます。 また、居住用財産の売却では控除を受ける際に所有期間は問われませんが、土地だけでなく建物とともに売却しなくてはなりません。その他、売り手と買い手が親子であるなどの特別な関係を持たないことも条件の一つ。ちなみに、特別控除額の合計は5000万円が限度です。
土地を売却して譲渡所得があったら、譲渡所得税、住民税、復興特別所得税がかかります。譲渡所得は「収入金額-(取得費+譲渡費用)」によって算出します。譲渡所得の税率は、譲渡した年の1月1日時点の所有期間が5年以下(短期譲渡所得)か5年超(長期譲渡所得)かによって決まります。
所得の種類 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 30.63% | 9% |
長期譲渡所得 | 15.315% | 5% |
※所得税には復興特別所得税を含みます。
なお、土地を売ったときの譲渡所得から特別控除を受けられるのは、以下の7つの特例です。
1.公共事業などのために土地建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3552.htm
参考:国税庁「No.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例」
2.マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
3.特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm
参考:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/10/10_65_3.htm
参考:国税庁「第65条の3 《特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除》関係」
4.特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/10/10_65_4.htm
参考:国税庁「第65条の4 《特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除》関係」
5.平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3225.htm
参考:国税庁「No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除」
6.農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/10/10_65_5.htm
参考:国税庁「第65条の5 《農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の所得の特別控除》関係」
7.低未利用土地等を売った場合の100万円の特別控除の特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3226.htm
参考:国税庁「No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」
「2. マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例」では、家屋を取り壊した日から1年以内に売買契約が締結された土地等であれば控除の対象になります。もっとも利用しやすい特例ですので、条件を事前に確認しておきましょう。
取得費が不明のケース
売買契約書を紛失してしまったり、土地や建物を相続した場合などは、取得費が分からないことも多いです。
取得費が不明な場合は、収入金額の5%相当額である概算取得費を取得費と考えて算出します。
概算取得費の計算方法は、以下の通りです。
概算取得費=土地又は建物の売却価格×5%
例えば、3,000万円の場合は150万円、2,000万円の場合は100万円を取得費とすることが可能です。
概算取得費が適用されないケース
概算取得費が適用されるのは、1952年(昭和27年)12月31日以前から所有していた土地・建物を売却するケースです。
ただし、1953年(昭和28年)1月1日以降に取得した土地・建物を売却する場合にも、概算取得費を適用することが可能ですが、強制はされません。
利益が出なくても課される「印紙税」
具体的な印紙税の額は以下の通りです。
2022年3月31日までの印紙税の軽減措置を講じた金額です。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え~50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え~100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え~500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え~1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え~5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え~1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え~5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え~10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え~50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
出典:国税庁 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置より。
買主と売主がそれぞれ一通分の印紙税を負担します。節税の方法としては契約書の一枚をコピーして保管すること。原本には印紙税がかかりますが、コピーにはかかりません。売主は原本を所持しなくともよいのでその分節税することができます。
登記手続きの際に納める「登録免許税」
登録免許税は土地や建物を登記する際、国に納める税金を指します。
例えば、不動産を最初に登記する所有権保存登記や所有権移転の登記、抵当権の設定登記などで登録免許税がかかります。
抵当権は、住宅ローンなどを支払えなくなったときに銀行が土地を差し押さえる権利のことです。
なお、土地の売却時に抵当権の抹消をする場合にも登録免許税が発生します。
ローンを支払い終えれば抵当権は抹消できますが、自動的に無効となるわけではありません。金融機関に融資を受けた土地であれば、売却の際に抵当権を抹消する必要があります。この税金は節税できませんが、知っておくと土地の売却時に役立ちます。
・登録免許税の計算方法
土地や建物の評価額に税率をかけて算出します。
登録免許税=固定資産税評価額×税率
固定資産税評価額は、固定資産評価証明書または課税明細書で確認できます。
ただし、抵当権の抹消登記にかかる登録免許税は、不動産1つにつき1,000円です。
登録免許税は、以下のような一定の不動産登記に軽減措置を受けることができます。
また、適用期限が2年延長されています。2022年(令和4年)3月31日→2024年(令和6年)3月31日
1.住宅用家屋の所有権の保存の登記に係る登録免許税の軽減措置
2.住宅用家屋の所有権の移転の登記に係る登録免許税の軽減措置
3.住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定の登記に係る登録免許税の軽減措置
4.特定認定長期優良住宅の所有権の保存の登記等に係る登録免許税の軽減措置
5.認定低炭素住宅の所有権の保存の登記等に係る登録免許税の軽減措置
6.特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転の登記に係る登録免許税の軽減措置
2と3、6については、取得する住宅用家屋の築年数要件が廃止され、一定の耐震基準に適合している家屋又は1982年(昭和57年)1月1日以後に建築された家屋を適用対象となりました。
参考:法務局「令和4年4月1日以降の登録免許税に関するお知らせ」
相続した土地を売ったときにかかる税金は?
売却する土地が相続したものの場合の税金はどのようになるのでしょうか。
先述したように、売却する土地の所有期間が長い「長期譲渡所得」ほうが税率が低くなるのですが、相続で取得した土地の場合、相続開始のあった日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却すると、「取得費加算の特例」が適用され税負担が軽くなります。
取得加算の算式は、以下のようになります。 売却価格から、取得費、譲渡費用に加え「売却した土地に対する相続税額」も加えてマイナスできるので、課税対象となる譲渡所得を減らすことができます。
土地を売却した際の税金シミュレーション
500万円、1,000万円、2,000万円で、土地売却した際の税金シミュレーションを計算してみましょう。
500万円で土地売却した場合の税金シミュレーション
・500万円で土地売却、譲渡所得が200万円の場合
■短期譲渡売買の計算方法
所得税・住民税=200万円×39.63%=792,600円
印紙税=1,000円
税金合計=793,600円
■長期譲渡売買の計算方法
所得税・住民税(長期譲渡の場合)=200万円×20.315%=406,300円
印紙税=1,000円
税金合計=403,600円
・500万円で土地売却、譲渡所得0円で利益が出ない場合
印紙税=1,000円 所得税・住民税=譲渡所得0円で税金計算なし 税金合計=1,000円
・500万円で土地売却、譲渡所得200万円、特別控除3000万円が使える場合
印紙税=1,000円
所得税・住民税=200万円-3,000万円が▲2,800万円で税金計算なし
税金合計=1,000円
1,000万円で土地売却した場合の税金シミュレーション
・1,000万円で土地売却、譲渡所得700万円の場合
■短期譲渡売買の計算方法
所得税・住民税=700万円×39.63%=2,774,100円
印紙税=5,000円
税金合計=2,779,100円
■長期譲渡売買の計算方法
所得税・住民税(長期譲渡の場合)=700万円×20.315%=1,422,050円
印紙税=5,000円
税金合計=1,427,050円
・1,000万円で土地売却、譲渡所得0円で利益が出ない場合
印紙税=5,000円
所得税・住民税=譲渡所得0円で税金計算なし
税金合計=5,000円
・1,000万円で土地売却、譲渡所得700万円、特別控除3000万円が使える場合
印紙税=5,000円
所得税・住民税=700万円-3,000万円が▲2,300万円で税金計算なし
税金合計=5,000円
2,000万円で土地売却した場合の税金シミュレーション
・2,000万円で土地売却、譲渡所得1,500万円の場合
■短期譲渡売買の計算方法
所得税・住民税=1,500万円×39.63%=5,944,500円
印紙税=10,000円
税金合計=5,954,500円
■長期譲渡売買の計算方法
所得税・住民税(長期譲渡の場合)=1,500万円×20.315%=3,047,250円
印紙税=10,000円
税金合計=3,057,250円
・2,000万円で土地売却、譲渡所得0円で利益が出ない場合
印紙税=10,000円
所得税・住民税=譲渡所得0円で税金計算なし
税金合計=10,000円
・2,000万円で土地売却、譲渡所得1,500万円、特別控除3000万円が使える場合
印紙税=10,000円
所得税・住民税=1,500万円-3,000万円が▲1,500万円で税金計算なし
税額合計=10,000円
節税方法のまとめ
所得税・住民税については、所有期間5年超で売却すると税率が下がり節税になります。
また、特別控除が使えれば更に節税となるのです。
また、印紙税については契約書を1通とすることで節税が可能です。また、契約書を2通作成する場合には、2022年3月31日までの契約で軽減税率が適用となり、節税となります。
一方、取得費不明の場合でも概算取得費を用いることが可能ですが、税金が多く取られる場合があります。
マイホーム(居住用財産)を売却した場合、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から3,000万円まで控除できる特例があります。
3000万円特別控除の適用要件は複数あるため、以下の国税庁のサイトを確認しましょう。
マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
売却タイミングによって、長期譲渡所得、短期譲渡所得で税金が大きく変わる場合があるので注意が必要です。
また、相続であれば「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」が利用できるかを確認しましょう。
参考:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm
土地の税金はいつ払うか
土地売却に掛かる税金は全部で3種類ありますが、納付方法は各々異なります。ここでは、土地に関する税金を支払うタイミングについて解説します。
印紙税を支払うタイミング
土地を売却するケースでは、売買契約が成立して契約書を取り交わす段階で印紙税を支払います。印紙税額は売買契約書に記載された金額によって異なり、2,000万円の不動産売買契約書であれば2万円の印紙税です。
出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
所得税を支払うタイミング
不動産を売却して利益が出た場合、確定申告をしなければなりません。確定申告する時期は不動産を売却した翌年の2月16日〜3月15日で、同時期に所得税を支払います。
納付場所は税務署もしくは金融機関です。
住民税を支払うタイミング
所得税の納付に際して、土地の売却で得た利益を確定申告しているので、住民税についてあらためて各自治体に申告する必要はありません。確定申告した年(土地を売却した翌年)の5月以降に市町村から納付書が送られてくるので、指定された金融機関やコンビニエンスストア、役場で支払います。
原則現金での支払いですが、自治体によってはクレジットカードでの支払いが可能です。一括払い以外にも、年4回に分けて納付することもできます。
土地の売却にかかるその他費用
土地の売却には税金以外にも費用が発生します。
一口に土地の売却と言っても、更地で取り引きできる土地だけとは限りません。
まだ古家が建っていたり、何年も使用していない工場跡地のような土地が取り引きされることもあります。以下に土地売却にかかる代表的な費用を紹介します。自分の土地の場合はどんな費用がかかるのかを確認しましょう。
- 土地売却にかかる費用の例
種類 | 名称 |
---|---|
費用 | 仲介手数料 |
費用 | ローンの一括返済手数料 |
費用 | 抵当権抹消費用 |
費用 | 解体費用 |
費用 | 土壌汚染対策費用 |
費用 | 測量費用 |
仲介手数料
土地売却の際不動産業者を利用する方がほとんどですが、仲介手数料として以下の金額を支払わなければなりません。
売買価格(税抜) | 仲介手数料限度額(税抜) |
---|---|
200万円以下の部分 | 売買価格×5% |
200万円〜400万円以下の部分 | 売買価格×4% |
400万円を超える部分 | 売買価格×3% |
※仲介手数料は消費税の課税対象なので、別途消費税がかかります。
不動産業者に支払う手数料は宅地建物取引業法で規定があり、細かく上限が設定されています。
なお、200万円以下の部分、200万円~400万円以下の部分、400万円を超える部分と3つに分けて計算するのは面倒ですので、実務では「速算式」を利用して金額を算出しています。
【売買価格400万円以上の場合の速算式】 仲介手数料 =(売買価格 × 3% + 6万円)+ 消費税
1,000万円の土地を売却した場合計算方法を具体的に例えてみると、以下のような計算になります。
仲介手数料 = 1,000万円 × 3% + 60,000円 = 360,000円 + 消費税
仲介手数料は決済・引渡しが成立したタイミングで、不動産業者に支払うのが一般的です。
ローンの一括返済手数料・抵当権抹消費用
住宅ローンの残債がある家を土地として売却する場合は、ローンを完済し抵当権を抹消しなければなりません。このときにかかるのが銀行に払う全額繰上返済の手数料、司法書士への報酬等の抵当権抹消費用です。
全額繰上返済にかかる手数料は住宅ローンを借り入れていた金融機関に支払います。契約時に一括返済をする際の手数料が決まっていますので、契約書を確認してください。数千円から高い場合は10万円を超えることもあります。
抵当権抹消に関する費用とは司法書士に支払う報酬費等(事前調査費含む)です。1万円前後になることが多いでしょう。抵当権抹消時には登録免許税もかかります。これは後ほど説明します。
解体費用
古家を取り壊し更地にしてから売却するケースも考えられます。このときは古家の解体費用がかかります。解体費用は建物の種類によって変わります。価格が安い順に木造、軽量鉄骨造、鉄筋コンクリート造です。一戸建ての大半は木造住宅になりますが、その費用は坪単価4万円から6万円程度が目安とされています。
土壌汚染対策費用
最近は住宅地の土地取引でも土壌汚染に関する調査や対策が要望されることが増えています。そのための調査費と、問題があった場合の対策費用も頭に入れておきましょう。
土地調査は土地の利用履歴を調べる地歴調査、土地の表層のみを調べる概況調査、ボーリング機器を使い深さ10mくらいまでを調べる詳細調査などがあります。土壌に汚染があると分かったら、その土を浄化しなければなりません。
調査も対策費もその範囲や土地の状況、実施の程度によって異なるため、費用は専門家に相談して確認してください。
土地の測量費用
売買する土地の正確な面積を測るために行うのが測量です。測量は義務ではありませんが、買主から求められたら対応せざるを得ません。測量にはいくつか種類があります。土地の売買では隣人立ち合いのもと厳密に測定するで確定測量を行います。隣接地が一般の宅地等であればその費用相場は100平米あたり40万円前後です。
まとめ
このように、土地の売却には税金がかかり、節税できるものとできないものがあります。中でも譲渡所得の特別控除が大幅な節税の鍵となりますが、その条件は細かいです。
今回紹介した条件以外にも厳密な定義がなされているので詳しくは国税庁のホームページを参考にすると良いでしょう。それぞれの税金の種類を正確におさえて土地を売却する際の節税対策にぜひ役立ててみてください。
関連サービス:売却時の手取り額がわかる!不動産売却シミュレーター
記事のおさらい!よくある質問
土地を売却したときの税金を教えてください
可能性があるのは「所得税」「住民税」「印紙税」です。所得税と住民税は不動産を売却して儲けがあった場合のみ課税されます。印紙税は売買契約書締結に必要なもので、土地の売却金額に応じて税額が決まります。
譲渡所得とは何ですか?計算方法は?
譲渡所得とは「売却価格-(取得費+譲渡費用)」がプラスになったときに発生する税金です。所得なので、所得税と住民税の両方が課税されることになります。売却した土地の所有期間が短期間(5年以下)のときは税率が高くなります。
税金を減らすことはできますか?
譲渡所得の計算では、取得費と譲渡費用を控除できます。譲渡費用は仲介手数料や印紙税のほか、測量費や建物の取り壊し費用などがあります。控除できる費用を漏らさないことで、税金を減らすことは可能です。また、譲渡所得の特別控除も活用しましょう。
相続した土地を売った時の税金は?
相続で取得した土地は、相続開始のあった日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却すると、「取得費加算の特例」が適用可能です。これは、売却した土地に対する相続税額も売却価格から控除できるため、譲渡所得の軽減に役立ちます。
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J’sパートナー総合会計事務所(酒向潤一郎税理士事務所)にて、税理士として会計事務所の経営を行う一方で、東証一部上場IT企業の事業開発責任者や事業会社の監査役、ベンチャー投資会社のパートナーなどを務める複業税理士。会計専門誌などにも複数寄稿。趣味が高じて学童野球連盟の監査役やスポーツクラブの監事も務める。

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