夫婦だと住宅ローン控除額が増える?ペアローンのお得度をシミュレーション!【2021年10月最新版】

夫婦だと住宅ローン控除額が増える?ペアローンのお得度をシミュレーション!【2021年10月最新版】

こんにちは、ファイナンシャルプランナーの鈴木です。

日本の共働き世帯は1990年代後半に専業主婦世帯の数を上回り、今ではその差は2倍ほどにも広がっていると言われています。では、共働きの夫婦が家を買うとき、その資金計画にはどんな選択肢があるのでしょうか。

たいていの人は家を買うときに住宅ローンを利用します。住宅ローンを利用するなら、住宅ローン控除を活用し税金の還付を受けるのが常套です。こうしたことは夫婦で家を買うにあたり、どのように計画していけばいいのでしょうか。共働き夫婦が家を買うときの住宅ローンの借り方、住宅ローン控除の活用について考えてみます。

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共働き夫婦がお金を借りる4つの方法

共働き夫婦が家を買うときに組む住宅ローンには4つの方法があります。

  • 夫婦のどちらかひとりが住宅ローンを組む方法
  • ペアローンで住宅ローンを2本組む方法
  • 夫婦で収入合算し、連帯保証で住宅ローンを組む方法
  • 夫婦で収入合算し、連帯債務で住宅ローンを組む方法

それぞれの基本的な違いについては「ペアローンはやめた方が良い?メリット・デメリットを解説!妻退職で後悔しない!」の記事で詳しく説明していますので確認してください。

ここでは、主に住宅ローン控除を受ける場合のそれぞれの違いについて確認します。

夫婦のどちらかひとりで組む

住宅ローン控除はローン契約者だけの利用となります。そのため、契約者の所得によっては控除の最大枠を利用しきれない場合があります。取得する不動産の名義は単独になります。

ペアローンで組む

夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用できます。メリットはひとりだけの場合よりも控除の最大枠と世帯単位での還付金額をを生かせる可能性があることです。団体信用生命保険はふたりがそれぞれに加入できます。名義は共有名義です。

なお、ローンを2本組むことになるため、印紙税、融資手数料、保証料、登記費用などの諸費用が2本分かかる点はデメリットです。

夫婦で収入合算し、連帯保証で組む

住宅ローン控除はローン契約者だけの利用となります。連帯保証人は住宅ローン控除を利用できません。名義も契約者による単独名義です。そのため、ひとりだけでローンを組むときと同様、控除の最大枠を利用しきれない場合があります。連帯保証人は団体信用生命保険への加入はできません。

夫婦で収入合算し、連帯債務で組む

夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用できます。控除の最大枠を生かしし、世帯単位での還付金をより多く受け取れる可能性が高くなるのはペアローンと同様です。名義も共有名義となります。それでいて契約はひとつだけなので、ペアローンのように諸費用が2本分となることもありません。

この方法はフラット35ならびに一部の民間金融機関のみが取り扱っていて、希望する住宅ローン商品によっては利用できない場合もあります。なお、団体信用生命保険にふたりとも加入できるかは商品によって異なります。

夫婦で住宅ローン控除をするときの注意点

夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用できるのは、ペアローンか夫婦で収入合算し、連帯債務で借りられる商品を選んだ場合です。ひとりだけが住宅ローン控除の対象となるより、控除額の上限まで利用できる可能性が高くなります。ただし、借入額や持ち分割合では注意が必要です。

国税庁のホームページにあるQA事例をベースに、具体的な例で確認してみましょう。

【ケースタディ】

  • 借り入れ方法:収入合算し、連帯債務
  • 不動産の購入代金:4,500万円
  • 頭金:500万円。夫婦それぞれ1/2負担
  • 借入金:4,000万円。夫3/5負担、妻2/5負担
  • 持分割合:夫婦それぞれが1/2ずつ

夫が負担する借入金の額は4,000万円の60%に相当する2,400万円です。しかし夫の持分は1/2ですから、持分を取得するための借入金として負担すべき額は、2,000万円(4,000万円×50%)だけです。この場合、住宅ローン控除の対象となる借入金も2,000万円となります。差額である400万円は妻の持分の取得のために夫が妻に代わって負担する夫の借入金として扱われ、住宅ローン控除の対象にはなりません。

一方、妻が負担する借入金の額は4,000万円の40%に相当する1,600万円です。この額はそのまま住宅ローン控除の対象金額にもなります。

夫婦の借入金4,000万円に対し、住宅ローン控除の対象金額は夫2,000万円、妻1,600万円、合計3,600万円と、借入額よりも400万円少なくなってしまいました。借入金に対する負担を夫婦それぞれ1/2としていたら、夫も妻も住宅ローン控除の対象金額は2,000万円となり、その合計額は4,000万円であることを考えると、この事例のような方法が得策ではないことが分かります。

もうひとつ、少し極端な例を上げましょう。夫が土地100%、妻が建物100%の持分として所有権を登記した場合、夫は一切住宅ローン控除が受けられません。これは建物に持分がなければ住宅ローン控除は受けられないからです。このとき、夫が実際に負担する金額は考慮されません。

このように持分の対象とその割合、借入金の負担割合をどう組み合わせるかで、住宅ローン控除に影響が出ることがあります。この点は十分に注意し、借入先となる金融機関等で住宅ローン控除の適用についても確認をしておきましょう。

住宅ローンの返済計画では、期間中に妻が出産・育児で仕事を休むケースもリスクとして想定されます。この間、保険給付(健康保険から出産一時金と出産手当金、雇用保険から育児休業給付金)はありますが、これらは所得にはなりません。住宅ローン控除に関しては所得がないので妻の分の控除がまったく生かせないことになります。

住宅ローン控除の計算方法

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した人の金利負担を軽減する制度です。期間中は毎年、年末の住宅ローン残高の1%(上限40万円)が控除されます。

控除期間は10年間ですが消費税率10%の引き上げにともない2019年10月~2020年12月に居住開始した場合は3年延びて13年になりました。この期間は現在は2022年12月31日までに再延長されています。

居住開始時期 2014年4月~2021年12月 2019年10月~2022年12月
控除期間 10年間 13年間
控除率 1% 1%
最大控除額 400万円 400万円+α

控除期間が11年目~13年目は次のうちいずれか低い金額が控除額となります。

  • 1. 年末ローン残高(上限4,000万円)×1%
  • 2. 税抜建物購入価格(上限4,000万円)×2%÷3

所得税、住民税の順に控除される

控除、という言葉がたくさん出てきますが日常的に使用しない言葉なので補足しましょう。

控除とは「計算の対象からある金額を差し引くこと」です。

住宅ローン控除は税額控除と呼ばれるものです。控除額は所得税額から差し引かれ最終的な申告税額(納付する所得税額)が決まります。

所得税額-住宅ローン控除額=申告税額

もし「所得税額<住宅ローン控除額」だったらどうでしょう。控除しようにも所得税額がそれよりも少ないという状況です。

このケースでは所得税額から控除しきれなかった残りの控除額を翌年度の住民税から控除できます。住民税からの控除額は136,500円が上限です。

先に妻が妊娠・出産のために所得が少なくなると、住宅ローン控除のメリットを生かせない点について触れましたが、その理由は制度の仕組みがこのようになっているからです。住民税も所得が少なければ課税金額も減少しますので、結局はどちらの税からも十分な控除できず制度のメリットがなくなってしまいます。

住宅ローン控除のシミュレーション

それではここで夫婦のどちらかひとりが住宅ローンを組んだ場合と、夫婦がペアローンで住宅ローンを組んだ場合の住宅ローン控除額の違いをシミュレーションにて明らかにして見たいと思います。

まず夫婦のどちらか(ここでは夫)が単独で住宅ローンを借り入れた場合です。

  • 夫年収:450万円(所得税10万円、住民税17万円)
  • 借入額:3,500万円(返済期間30年、金利1.5%)
年数 借入残高 借入残高の1% 所得税からの控除額 住民税からの控除額 控除額合計
1年目 3,406万円 34.06万円 10万円 13.65万円 23.65万円
2年目 3,312万円 33.12万円 10万円 13.65万円 23.65万円
3年目 3,216万円 32.16万円 10万円 13.65万円 23.65万円
4年目 3,119万円 31.19万円 10万円 13.65万円 23.65万円
5年目 3,020万円 30.20万円 10万円 13.65万円 23.65万円
6年目 2,919万円 29.19万円 10万円 13.65万円 23.65万円
7年目 2,818万円 28.18万円 10万円 13.65万円 23.65万円
8年目 2,714万円 27.14万円 10万円 13.65万円 23.65万円
9年目 2,609万円 26.09万円 10万円 13.65万円 23.65万円
10年目 2,503万円 25.03万円 10万円 13.65万円 23.65万円
11年目 2,395万円 23.95万円 10万円 13.65万円 23.65万円
12年目 2,285万円 22.85万円 10万円 12.85万円 22.85万円
13年目 2,173万円 21.73万円 10万円 11.73万円 21.73万円
合計 --- 364.89万円 130万円 174.73万円 304.73万円

このケースでは11年目まで「借入残高の1%>所得税からの控除額+住民税からの控除額」となっています。借入残高の1%の合計が364.89万円に対し控除できた額の合計は304.73万円ですから、83.5%しか控除を生かしきれていないことがわかるでしょうか?

続いて、夫婦がペアローンで住宅ローンを組んだときのシミュレーションをしてみましょう。

夫名義で2,500万円、妻名義で1,000万円を借り入れたとします。持分は返済負担と同じものとします。

  • 夫年収:450万円(所得税10万円、住民税17万円)
  • 妻年収:350万円(所得税6万円、住民税13万円)
  • 借入総額:3,500万円(返済期間30年、金利1.5%)
年数 夫控除額 妻控除額 夫婦控除額合計
1年目 23.65万円 9.73万円 33.38万円
2年目 23.65万円 9.46万円 33.11万円
3年目 22.97万円 9.18万円 32.15万円
4年目 22.27万円 8.91万円 31.18万円
5年目 21.57万円 8.62万円 30.19万円
6年目 20.85万円 8.34万円 29.19万円
7年目 20.12万円 8.05万円 28.17万円
8年目 19.39万円 7.75万円 27.14万円
9年目 18.64万円 7.45万円 26.09万円
10年目 17.88万円 7.15万円 25.03万円
11年目 17.10万円 6.84万円 23.94万円
12年目 16.32万円 6.52万円 22.84万円
13年目 15.52万円 6.21万円 21.73万円
合計 259.93万円 104.21万円 364.14万円

夫が単独で借り入れたときの控除額の合計が304.73万円だったのに対して、夫婦それぞれが借り入れたときの夫婦控除額の合計は364.14万円になりました。世帯でみると計算上ではおよそ60万円得をしたことになります。

住宅ローン控除を受ける流れ

夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けるときの流れを確認しましょう。どちらも会社員として働いている前提です。

住宅ローン控除を利用する初年度は確定申告(還付申告)が必要です。確定申告(還付申告)は家を買った翌年の1月から3月15日までに行います。

記入する書類は「確定申告書(A書式)」と、ペアローンの場合は「住宅借入金等特別控除額の計算証明書」、連帯債務で組んでいる場合は「連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」を記入します。

添付書類は取得した住宅の種類などによって異なりますが「登記事項証明書」「請負契約書または売買契約書」「住宅借入金に係る借入金の年末残高証明書」は添付が必要です。また、書類を記入するにあたり手元に「給与所得の源泉徴収票」も用意しておきましょう。

作成した書類は添付書類とともに税務署へ郵送または持参します。e-tax(国税電子申告・納税システム)の利用準備ができていればオンラインでの申告も可能です。

2年目以降は会社で年末調整を行うときにあわせて住宅ローン控除の手続きもできるようになります。必要書類は税務署から送られてくる「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」と金融機関から届く「住宅借入金に係る借入金の年末残高証明書」です。

年末調整の期日は会社によって異なりますので、担当者に確認のうえ、期日内に手続きを終えるようにしましょう。

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鈴木玲
2級ファイナンシャルプランナー

2級ファイナンシャルプランナー
出版社で5年、Webメディアで10年の勤務後に独立。独立後最初の確定申告で大きくつまづき、以後、本業のかたわら独学で社会保険、不動産、金融等の知識習得に励む。2018年、ファイナンシャルプランナーに。得意ジャンルは不動産で、実生活では中古マンションの購入、リフォーム、賃貸、売却を経験。やさしい日本語でにっぽんの制度や仕組みを説明する「やさしい にっぽん」を企画・運営。ほか執筆記事にパートだから社会保険に加入したくない。【2021年の条件は?】など。

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