トラブルによくなる「原状回復」義務とは?費用負担は「借り主」VS「貸し主」どっち

トラブルによくなる「原状回復」義務とは?費用負担は「借り主」VS「貸し主」どっち

初めての一人暮らしでアパート契約をした際や、そこを引き払うことになった際に、「原状回復」という言葉を耳にするでしょう。

場合によっては、借主がその費用を負担しなくてはならないと聞くと、いったいどれだけ金額がかかってしまうのだろうと怯えてしまうかもしれません。

原状回復をめぐっては、借主側と貸主側で考えが異なり、トラブルにつながることもあります。

この記事では、どこまでを借主が負担しなくてはいけないのか、具体例を交えながら解説します。

原状回復とはいったいどういうもの?

漢字からも推測できるように、原状回復とはアパートやマンションといった賃貸住宅を退去する際に入居時の状態に戻すことをさします。しかし、入居時の状態に戻すことは困難と感じる方も多いのではないでしょうか。

そこで、入居時の状態について、さらに説明していきます。

原状回復の意味

年数が経つにつれて建物やその設備は老朽化が進むものです。そのため、数年住んだ後に入居時の状態に戻すとなると、ある程度の修繕が必要な場合も出てきます。しかし、原則として経年劣化や通常の摩耗は貸主側の負担という考えが一般的です。

経年劣化した建物やその設備は老朽化が進むものです。そのため、数年住んだ後に入居時の状態に戻すとなると、ある程度の修繕が必要な場合も出てきます。しかし、原則として経年劣化や通常の摩耗は貸主側の負担という考えが一般的です。

現状回復との違い

読み方は同じですが、「げんじょうかいふく」を変換すると「原状回復」と「現状回復」が出てきます。原状は最初にあった状態を指す一方で、現状はたった今の状況を表します。

つまり、現状回復だと今の状況に回復するということになってしまい、本来の趣旨とまったく異なります。そのため、このような状況では必ず「原状回復」と表記するようにしましょう。

原状回復費用の負担者は?

もっとも気になるところは、原状回復費用を誰が負担するかということです。結論からすると、全額借主負担になる場合、負担にならない場合、そして一部負担する場合があります。

それぞれのケースごとにどれに該当するかが異なりますので、後ほど詳しく解説します。

いくらかかる?原状回復の費用

原状回復費用として、莫大な金額を退去時に請求され、そんな大金は払えないとなると困ります。ただでさえ、引越し費用などで出費が重なるうえに、原状回復費用まで多額だと目も当てられないですね。

では、原状回復の相場はどれほどなのでしょうか。

原状回復の相場

もちろんケースによって原状回復費用の相場は異なりますが、一般的に家賃の2〜3ヵ月分が最大限といわれています。これ以上の請求は過度と判断されることも多いので、万が一貸主から多額の原状回復費用の請求があった場合は、弁護士をはじめとした専門家への相談を検討したほうが良いでしょう。

敷金から補填する場合も

多くの方が賃貸契約時に敷金を納めているでしょう。敷金とは、借主が物件を汚したり破損した際に発生する費用に充てるために、貸主が預かるものです。これにより、貸主は契約時点において今後発生しうるリスクを担保しています。つまり、原状回復費用が発生しても、敷金額内に収まれば、新たな出費は発生しません。

また、原状回復費用が発生しなければ、敷金はそのまま返却されますし、損害額が敷金額内に収まればその差額が借主に返却されます。原状回復費用がいくらかかるか想定するうえで、まず自分が契約時に敷金を納めていたかを確認し、契約書を再度読み返してみると良いでしょう。

原状回復にまつわるトラブル

原状がどのようなもので、それと退去時の状況がどれほど乖離しているかについての考え方は人によって異なります。ましてや、借主・貸主双方ともに原状回復についての責任は持ちたくないですから、トラブルにつながってしまうこともしばしばです。

意外と多い?原状回復のトラブル

独立行政法人国民生活センターによると、敷金・原状回復について、年間平均13,000件前後(2016~2018年)の相談が寄せられています。原状回復費用に充てられるべきでない案件にもかかわらず、敷金から差し引かれていたり、敷金以上の現状費用が発生した場合の相談が寄せられています。ここからさらに具体的なトラブル事例をみてみましょう。

トラブル事例

具体的なトラブル事例として、5年間居住したアパートを退去した際に管理会社からクリーニング代や修繕費を請求されたもの、壁紙やクロスの原状回復費用を請求すると言われたというものなど、実際に身の回りで起きそうな事例が多数報告されています。どのような場合に自分の責任となるかを、事前にしっかり把握しておき、トラブルを未然に防ぎましょう。

トラブル未然防止のためのガイドライン

今まで見てきたように、原状回復にまつわるトラブルが多数報告されており、これは双方の原状回復に対する考え方の違いにより発生するものです。そこで、トラブルの未然防止や円滑な解決のために、国土交通省が一般的なルールを設定しております。

原状回復が必要な範囲を確認する際にも、ひとつの指標になりますので、ここからこのガイドラインに基づいて事例を分けていきましょう。

原状回復はどこまで必要?

最初に述べたように、原状回復義務といっても入居開始時とまったく同じ状態に戻すわけではなく、上述したガイドラインにおいても、自然消耗や経年劣化については借主は原状回復義務を負わないとされています。この原則を踏まえ、原状回復が必要な場合と不要な場合に分けてみましょう。

原状回復が必要な場合

原状回復の判断の際に、重要なキーワードのひとつが善管注意義務です。これは、社会的に通常期待される範囲で目的物を管理しなくてはならないというもので、これに違反した場合は、原状回復の責任を負わなくてはなりません。

飲み物をこぼしたことにより、シミやカビを発生させてしまった、鍵を紛失・破損してしまった、子どもの落書きやペットが傷をつけてしまったなどが代表例です。

原状回復が不要な場合

日照等によりクロスが変色したり、自然災害でガラスが損傷した場合は自然消耗の代表例にあたり、原状回復は不要となります。また、耐用年数経過による浴槽のひび割れについても、経年劣化なので、一般に原状回復は不要とされています。

まずは、通常生活・清掃を心がける

原状回復費用と聞くと、追加出費が不安になる方も多いと思います。しかし、多くは預け入れしている敷金でまかなわれます。また、ペットによる傷や子どもの落書き、ジュースのシミなどは、常識的に考えてみても、自身に責任があり、あえて貸主に責任を押しつけようとは思わないのではないでしょうか。

つまり、通常生活と清掃を心がければ、新たに大きな出費が発生する可能性は低いです。もし、自分が建てたばかりの新築物件だとしたら、毎日丁寧に掃除し、ジュースのシミにも細心の注意を払うはずです。

賃貸物件といえども、人から借りている大切な物件という気持ちを忘れずに生活すれば、お互い気持ちよく過ごすことができるのではないでしょうか。

オウチーノニュース編集部

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