空き家の売却は早めにしないと損!?税金の特例をうまく使おう

川口 拓哉
監修: 税理士 川口 拓哉
空き家の売却は早めにしないと損!?税金の特例をうまく使おう

相続などで親から家を受け継いだはいいけれど、遠方にあるなどの理由から使い道もなく、そのまま手つかずになっているというケースは少なくないようです。また「売るだけならいつでも売れるから…」と、その空き家をどうするか判断を先延ばしにする人もいるのではないでしょうか。

しかし、空き家を放置していても、固定資産税は発生します。活用の予定がないのであれば、相続した空き地の売却は有力な選択肢のひとつです。そこで今回は、空き家を売却する際にかかる税金・受けられる控除について紹介します。

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不動産売却にも税金がかかる!

皆さんは不動産を売却して得た収入が課税対象となることはご存じでしょうか?
不動産を売却した際に得られる所得のことを譲渡所得と呼び、この譲渡所得に対して所得税や住民税が課税されるのです。課税譲渡所得の額は、下記の方法で算出します。

収入金額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額 = 課税譲渡所得

収入金額とは不動産の売却額のことで、取得費は売却した不動産の購入金額(購入後の設備更新やリフォーム費も含める)から建物の減価償却費相当額を引いた金額 、そして譲渡費用とは仲介手数料など売却のためにかかった金額を指しています。

実際に支払う税金はこの課税譲渡所得に所得税率と住民税率を乗じて計算しますが、不動産を売却する年の1月1日における所有期間が5年超の場合(長期譲渡所得)の税率は20.315%、5年以下の場合(短期譲渡所得)には39.63%と、所有期間によって税率が異なる点には注意しましょう。

空き家特例とは

上記、課税譲渡所得を算出する計算式の「特別控除額」の部分に該当するもののひとつに「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」があります。「空き家特例」とも呼ばれるもので、相続によって取得した空き家を売ったときの譲渡所得に関する税金を軽減することを目的とした特例です。

この特例では相続により取得した被相続人が居住用に利用していた家屋等を売却したときに、譲渡所得の金額から最高3,000万円を控除することができます。家屋を取り壊してその敷地のみを売ることも可能です(一定の条件あり)。

国税庁によるとこの特例の根拠となる法律は、所得税法33条「譲渡所得」、租税特別措置法第35条「居住用財産の譲渡所得の特別控除」、租税特別措置法施行令第20条「長期譲渡所得の課税の特例」の3、同第23条「居住用財産の譲渡所得の特別控除」、租税特別措置法施行規則第18条の2 「居住用財産の譲渡所得の特別控除」です。(国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)

譲渡所得の控除となるため、対象となる(影響を及ぼす)税金は所得税(復興特別所得税含む)と住民税です。

この特例の適用期間は平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に対象となる空き家を売っていることです。

控除額は最大で3,000万円です。仮にこの額を全額、譲渡所得から除くとなると長期譲渡所得で6,094,500円、短期譲渡所得で11,889,000円の節税となる計算です。

空き家特例を利用するための条件

特例の利用にはいくつか条件が設定されています。代表的なものをピックアップし、その理由や確認方法を解説します。

利用者が被相続人の相続人である

この特例は被相続人の居住用財産を相続人が売ったときに利用できるものです。自身が相続人であることは該当不動産の「登記事項証明書等」で相続登記がなされていることによって確認します。

該当不動産は平成30年1月2日以後に亡くなった被相続人からの相続である(※令和3年分の場合)

これは特例の条件が「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること」となっているからです。特例の利用が令和4年の場合は平成31年1月2日以後に日付が変わりますので注意してください。被相続人の死亡日は戸籍または除籍の全部事項証明書にて確認できます。

該当不動産は被相続人の住まいとして利用されていた家屋と敷地の両方である

この特例は家屋または敷地のどちらか一方を相続で取得した場合は利用できません。不動産の権利関係は「登記事項証明書等」を参照してください。

この特例の利用が初めてである

同じ被相続人から相続した同一の不動産に対しては、特例の利用は一度のみです。

該当不動産の家屋は昭和56年5月31日以前に建築されたものである

昭和56年5月31日以前に建築された家屋とは、建築基準法における旧耐震基準を意味します。この特例は古くて老朽化する空き家の数を抑制する狙いがあるため、建築年日の基準が設けられていると考えられます。築年日は「登記事項証明書等」を参照してください。

該当不動産はマンション(区分所有登記がされた建物)ではない

平たく言うと一戸建てであることが特例利用の条件です。一戸建てに限定しているのも、この特例が老朽化する空き家抑制を目的としたものであるからでしょう。

被相続人が相続開始の直前においてその家屋に一人で住んでいた

特例の対象が「空き家」であるため、このような定義が必要であったと考えられます。一人で住んでいたかどうかは「被相続人居住用家屋等確認書」や被相続人の住民票、電気ガスの閉栓証明書などで確認(証明)する必要があります。

該当不動産の売却先が第三者である

該当の不動産を特例利用者の配偶者や一定の親族等、あるいは一定の同族会社に売却する場合はこの特例を利用できません。これは親族間での売買によって課税回避を意図的に行うことを防ぐためでしょう。相手先が第三者かどうか懸念がある場合は事前に税務署へ確認しましょう。

該当不動産の売却代金が1億円以下である

1億円を超える高額取引となった場合は特例が利用できません。所得の多い人は税負担が増える、という税の基本的なスタンスが反映したものと考えられます。

該当不動産を相続開始から売却までの間に活用していない

ここでの活用とは事業に用いたり、賃貸として貸し出したり、自分が住んだりしていないことです。活用がある不動産は「空き家」を対象としたこの特例にはそぐわないため、このような条件が設定されていると思われます。

該当家屋が売却時点で耐震基準に適合している

この特例が老朽化する空き家抑制を目的としている以上、耐震リフォームをして一定の耐震性を満たしたものを市場へ流通させることを条件として担保しておく必要があります。別の方法として、建物を取り壊して更地として売ることもこの特例の利用では認められています。耐震性の確認(証明)は「耐震基準適合証明書」もしくは「建設住宅性能評価書の写し」などの書類によって行います。

条件の確認には国税庁のチェックシートが便利

空き家特例は複数の条件をすべてクリアしている必要があります。自身が利用者に該当するかどうかを判断するために国税庁がチェックシートを公開しています。利用年ごとに情報が更新されるため、最新のものを使うことを心がけてください。

国税庁:被相続人の居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例チェックシート

特例の申請方法

この特例を利用する場合は、特例の適用で納付する税金がゼロになる場合であっても必ず確定申告が必要です。

申請までを一連の流れで記すと次のようになっています。

  1. 空き家を相続する
  2. 空き家を売却する
    (相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで)
  3. 確定申告をする
    (空き家を売却した翌年の2月16日から3月15日まで)

確定申告の必要書類は次のものです。

家屋・敷地を売却した場合

・譲渡所得の内訳書
・登記事項証明書
・被相続人居住用家屋等確認書
・耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し
・売買契約書の写し

家屋を取り壊して売却した場合

・譲渡所得の内訳書
・登記事項証明書
・被相続人居住用家屋等確認書
・売買契約書の写し

特例適用にあたっての注意点

空き家特例の利用条件を満たすかどうかや、利用に際して注意点があるようなケースがいくつかあります。ケースタディで考えてみましょう。

家屋と土地を両親から別々に相続する場合

特例の適用を受けるためには、家屋と土地の両方を相続している必要があります( 両方を相続後に家屋を取り壊して敷地のみを売却した場合は一定の条件をクリアすれば特例は利用できます)。そのため、家屋と土地を別々に相続した場合は、特例の利用はできません。

売却後に買主が家屋を取り壊す場合

この特例が認めているのは特例の利用者が家屋を取り壊して更地としたあとにその敷地を売却した場合です。特例で認められていない家屋(耐震基準を満たしていないものなど)を敷地とセットで売却した場合は、その後買主が家屋を取り壊したとしても特例は利用できません。

被相続人が老人ホームで生活していて相続直前に住んでいない場合

被相続人が要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所していた場合は、相続の開始の直前において被相続人が住んでいなくてもこの特例を利用することができます。ただしその場合も該当の不動産を事業に用いたり、貸し出していたり、別の誰かが住んでいた実態があると、特例は利用できなくなります。

被相続人が介護のため子どもと同居していて相続直前に住んでいない場合

事情は上のケースと同じですが、介護されていた場所が老人ホームではなく子どもの自宅だった場合です。このケースでは特例の利用はできません。特例が認められるのは老人ホームや介護医療院、サービス付き高齢者向け住宅、障害者グループホームなどです。

小規模宅地等の課税価格の特例との併用について

相続の際に「小規模宅地等の課税価格の特例」を受けた不動産を売却した場合であっても、空き家特例を併用して利用することは可能です。ただし、その不動産を相続税の申告期限(相続から10か月以内)まで所有していることが小規模宅地の特例では義務付けられています。空き家特例を使いたいあまりに、相続直後に売却してしまい、小規模宅地の特例が使えなくならないように注意してください。

物件が被相続人との共有だった場合

該当の不動産が被相続人と相続人で共有していた場合です。この場合、相続人がすでに所有している部分についてはこの特例は適用されません。

譲渡所得の相続税の取得費加算の特例との選択について

「相続税の取得費加算の特例」とは、相続により取得した土地、建物などを、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる特例です。譲渡所得を減らすという意味では空き家特例と同じですが、ふたつの特例を併用することはできません。どちらか一つのみを選択し、利用するようにしてください。

兄弟で空き家を相続する場合

該当の不動産を兄弟など複数の相続人が相続した場合は、それぞれに最大3,000万円の控除を受けることができます。ただし、相続するときに、どちらかが建物だけを、どちらかが敷地だけをとしてしまうと、特例の条件である建物と敷地を両方相続した場合から外れてしまうので注意してください。

控除が受けられるか、不動産会社に相談してみよう

上記で紹介したとおり、空き家特例控除を受けるための条件はやや複雑です。
下記の国税庁のページで詳細な条件を確認しつつ、分からないことがあったら不動産会社に相談してみるとよいでしょう。

■参考ページ
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

使う予定のない空き家はつい放置してしまいがちですが、空き家を放置していると使わない家に固定資産税を払い続けることになるうえ、災害対策や街の景観の観点からも好ましくありません。

2015年には「空き家対策特別措置法」が施行され、状態が悪く周囲へ害をなす懸念がある空き家は「特定空き家」と定義され、住宅用地の特例措置から除外され、実質的に固定資産税が6倍になってしまうリスクもあります。

また先に述べたように、譲渡所得にかかる税金の特別控除を受けるための条件には期限付きのものもいくつかあります。空き家は放置せず、早期の売却を検討することをおすすめします。

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川口 拓哉
監修
税理士
川口 拓哉

一般事業会社の税務部門や大手税理士法人において、法人税、消費税、所得税などの幅広い税目の業務に従事した経験を有する。Webライターとしては、月間PV100万以上の総合マネー系サイト、経理初心者に向けた解説サイト、相続に強い税理士法人の集客サイト、不動産系ポータルサイトなどの多くのサイトで、主に所得税や相続税に関する記事を多数執筆している。

執筆
2級ファイナンシャルプランナー
鈴木玲

出版社で5年、Webメディアで10年の勤務後に独立。独立後最初の確定申告で大きくつまづき、以後、本業のかたわら独学で社会保険、不動産、金融等の知識習得に励む。2018年、ファイナンシャルプランナーに。得意ジャンルは不動産で、実生活では中古マンションの購入、リフォーム、賃貸、売却を経験。やさしい日本語でにっぽんの制度や仕組みを説明する「やさしい にっぽん」を企画・運営。ほか執筆記事にパートだから社会保険に加入したくない。【2022年の条件は?】など。

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