中古マンションの価格の下落率と築年数の関係は?

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中古マンションの価格の下げ止まりがいつ起こるのか。不動産の資産価値を考えるうえで、いつ頃のマンションを購入すれば価格が下がりづらいか知っておきたい方も多いでしょう。10年ほど前は築15年以降は値下がりしづらく、築15年~20年ほどのマンションが購入には狙い目と言われていました。
しかし、最近の取引のデータからは違った傾向が見られるようです。
中古マンションの価格は築何年で下げ止まる?
まずは、東日本不動産流通機構が2021年2月に発表した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」のデータをひも解いてみましょう。
2020年に成約した中古マンションの平米単価を、築年帯別にまとめたのが次のグラフです。
横軸が築年数、縦軸が平米単価(単位:万円)です。
このグラフからは、中古マンションの下げ止まりは築10年、築15年といったレベルではなく、実は築30年までひたすら下がり続け、ようやくそこで下げ止まりがある、と読み取ることができます。
下落率という点では「築11~築15年」から「築16年~築20年」にかけて、わずかですが他よりも落ち込み方が緩くなっています。下げ止まりならば、この先グラフの線がx軸に対して平行に推移していくはずですが、築21~築25年、築26~築30年にかけて再び急傾斜となっています。これでは、下げ止まったと表現することはできないでしょう。
中古マンションの価値が一定の築年数で下げ止まることは、買い手にとっても売り手にとっても安心感を与えるものです。残念なことに、その時期はこれまで言われてきた説よりも、大幅に後ろにずれてしまっている可能性があります。
わずか10年で市場は激変!? 築古物件の増加が止まらない
なぜ、下げ止まりが築30年までやって来ないのか。これまで築10年や築15年とまことしやかにささやかれていた説は何だったのか。これは、過去のデータからその理由の一端を垣間見ることができます。
上のグラフは各年の新規登録物件を築年数別の構成比率でまとめたものです。2010年は築0~築15年までの物件が登録数全体のおよそ半数だったのに対し、2020年は25%ほどしかありません。反対に築31年~のシェアは2010年の17.7%から43.2%へと2.4倍も増えています。
築年数の古い物件は価格を引き下げることで、なんとか物件を売り切ろうと考えるでしょう。そうなると市場全体がそちらに引っ張られる可能性があります。市場におけるシェアが少ないうちは、影響も少なくてすみますが、築31年以上のマンションの登録が全体の半数近くまでとなると、市場全体へ及ぼす影響が色濃くなっていきます。
先に示した中古マンションの築年帯別㎡単価(成約)を2020年と2010年で比較してみましょう。
2010年は築20年で明らかな下げ止まりが見られます。また全体を通しての下落率も2020年と比べるとかなり緩やかです。
わずか10年の間に、このような変化が起こっていたのです。
「築15年を過ぎたら価格はもう下がらないからまだ売らなくても大丈夫」、「築20年までのマンションを買っておけば、将来の売却時に価値が下がっていない」。もし、そのように考えているなら、それは過去のデータをもとにした古い情報かもしれません。情報を整理し、考え方を一度アップデートしておきましょう。
エポックメイキングな築年は要チェック
価格の下げ止まりを意識して中古物件の築年数を判断することは重要な視点ですが、ほかにも制度上、歴史上重要となる築年があります。
住宅ローン控除は築25年
住宅ローン控除は中古住宅でも利用できますが、中古マンションでの利用要件のひとつに「家屋が建築された日からその取得の日までの期間がマンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年以下であること」があります。取得を2021年だとすると1996年以降に建築されたマンションが対象です(取得日と登記簿上の新築された日付から正確な25年以下を算出してください)。
「耐震基準適合証明書」などで現行の耐震基準に適合していることが確認できれば、築年数が25年を超えた物件でも住宅ローン控除を受けることができますが、築年数を判断する一つの基準として押さえておくと良いでしょう。
耐震基準の境界は1981年
マンションがいつの時点の耐震基準をもとに建てられているかも、防災上は重要な観点になります。歴史上重要な転換は1981年の建築基準法の大改正です。この改正以降のルールで建てられたマンションの耐震基準は「新耐震基準」という呼ばれ方をします。
ただし、注意点があります。新耐震基準で建築確認を受けたマンションが実際に竣工するのはその1年から1年半後です。そのため、築年が1981年から1983年のマンションのなかには、古い基準で建築確認を受けたものも相当数あります。この間に建てられたマンションについては、どちらの基準をで建築されたのかを確認しましょう。
大規模修繕の目安は12年周期
中古マンションでは、建物全体がこれまでどのような修繕を行ったきたのか、その履歴を確認することも大切です。
一般に大規模修繕と呼ばれる工事は、12年をひとつのサイクルとして行うことが推奨されています。つまり、築12年で1回、築24年で2回、築36年で3回の大規模修繕が行われている計算です。
あくまで目安であり、各工事の実施時期は建物の状況を見ながら決定されていくので、必ずしもこのサイクル通りにすべての工事がされてなければいけない、ということではありません。ただし、築40年のマンションで外壁工事がこれまで1度しか行われていないようなことであれば、その理由や今後の予定は確認したほうがよいでしょう。回数のほかには、直近でいつ行ったかという視点も大切です。
記事のおさらい!よくある質問
最新のデータで価格の下げ止まりはいつ?
2020年のデータを見る限り、首都圏の中古マンションの価格が下げ止まるのは築26~築30年のタイミングです。それまでは築年数に応じた分、価格は下がっています。
10年前と比べて市場にはどんな変化がある?
売却物件のなかで築年数の古いマンションの割合が高くなっています。2010年は築31年を超えるマンションは全体の17.7%でしたが、2020年では43.2%を占めるほどです。
住宅ローン控除と築年数の関係は?
中古マンションの場合、住宅ローン控除を受ける条件のひとつが築25年以下であることです。マンションを売る人も住宅ローン控除を利用できるマンションのほうが需要は高くなりますので、必ずチェックしましょう。
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出版社で5年、Webメディアで10年の勤務後に独立。独立後最初の確定申告で大きくつまづき、以後、本業のかたわら独学で社会保険、不動産、金融等の知識習得に励む。2018年、ファイナンシャルプランナーに。得意ジャンルは不動産で、実生活では中古マンションの購入、リフォーム、賃貸、売却を経験。やさしい日本語でにっぽんの制度や仕組みを説明する「やさしい にっぽん」を企画・運営。ほか執筆記事にパートだから社会保険に加入したくない。【2022年の条件は?】など。