2022年4月に始まる高校家庭科の「投資教育」とは?メリット・導入背景を解説

2022年4月に始まる高校家庭科の「投資教育」とは?メリット・導入背景を解説

こんにちは。キッズ・マネー・ステーション認定講師、ファイナンシャルプランナーの野口太です。

2022年4月より、新しい指導要領に基づく高校家庭科の授業がスタートします。

中でも注目されるのが「高校家庭科での投資教育」。家庭科の授業内で高校生は株式や債券、投資信託など基本的な金融商品の特徴を学ぶことになります。金融リテラシーが先進国の中でも進んでいるとは言えない日本ですが導入する背景や、メリットなどについてご案内したいと思います。

導入の背景

金融庁が掲げた「貯蓄から投資へ」というスローガンは既に2003年からスタートしているということはあまり周知されていないのではないでしょうか。

金融庁はこれまでにも様々な施策を行ってきましたが、日本では未だに投資教育が進んでいないのが実態です。それが、最近になってようやく変化が訪れてきました。インターネットやSNS、YouTubeなどのインフルエンサーからの情報発信により、新型コロナウイルスの影響によるステイホームも相まって、投資に関心を持つ方が以前より増えたように感じます。

しかし全体的に見ると、投資教育はもちろんのこと、マネー教育自体もまだまだ浸透していないのが実情です。

金融庁も『国民一人一人が安定的な資産形成を実現し、自立した生活を営む上では、金融リテラシーを高めることが重要である一方で、そのための機会が必ずしも十分とは言えない』としています。

※金融庁 金融経済脅威幾について(2019年12月13日)より抜粋、P.1

実際に、日本では学校でマネー教育を受ける機会がまだまだ与えられていませんし、お金の話をするのは好ましくないという風潮もあり、先進国の中でもマネー教育に関しては非常に遅れています。当然、若者たちはお金に関する知識が乏しく、それがトラブルや不安の元となっています。

しかし、年金問題や人生100年時代に備え、資産形成の知識を身につけておくべくという時代の流れが後押しし、これからの時代を生きる力の一つとして、マネー教育が注目されるようになり、今回の導入に至ったようです。下記のとおり、「投資」や「保険」「株式」など、かなり具体的なワードも記載されており、今まで以上に積極的な現場での取り組みが必要になってくるのではないでしょうか。

「家計管理については, 収支バランスの重要性とともに,リスク管理も踏まえた家計管理の基本について理解できるようにする。その際,生涯を見通した経済計画を立てるには,教育資金,住宅取得,老後の備えの他にも,事故や病気,失業などリスクへの対応が必要であることを取り上げ,預貯金,民間保険,株式,債券,投資信託等の基本的な金融商品の特徴(メリット,デメリット),資産形成の視点にも触れるようにする。」

※高等学校学習指導要領(平成30年告示)「家庭基礎」より抜粋、P.39

導入のメリット

生きていくことで避けては通れない「お金の問題」。お金は使い方次第で、善にも悪にもなります。 子ども達のマネー教育を通じて、今こそ親御さんや教育関係者も、あらためてマネー教育について考える機会になればと思います。

とは言え、子供達に教える立場の親御さんや教育関係者が、マネー教育のメリットや必要性を感じることができないと、子ども達に伝えるのは難しいのではないでしょうか。

  1. お金の重要性や仕組みを知り、社会のルールを学ぶことができる
  2. お金のトラブルを避けられる
  3. 将来の人生計画を事前に立てることができ、夢を実現できる。

まずは、おこづかいやお買い物ごっこ、普段の買い物中にお金の会話をするなど、子どもが小さい時からたくさんお金に触れる経験をすることが、正しい金融教育を養える土台になります。ポイントはお金=悪いものではなく、ポジティブなものと捉えて楽しく学んでいくという点です。

親や教員に求められる向き合い方とは?

実際に、子ども達にマネー教育を教える、親御さんや教育関係者は学校でマネー教育を学んでいません。
今後、教育関係者向けには金融庁からの教育現場をサポートするイベント等が行われていくようです。

ただ、問題は子ども達が一番接する時間の長い、子ども達の親御さんです。子どものお金に関する価値観は小学生のうちに決まってしまうとも言われており、幼少期の非常に大切な時間を親御さんは子どもと過ごすことになります。

子どもがお金に対してネガティブな印象を抱いてしまったり、何もわからない状態で成長してしまうと、高校生になっていざ投資教育と言われても、なかなか本質を理解することは難しいと思います。やはり、段階的な学びとして、子どもが小さい時からのマネー教育もセットで考えるべきではないかと思います。

そのためには、学校以外での家庭内でのお金を通じた親子のかかわり方が大切になってきます。とりわけ子ども達がお金にポジティブになるためには、何より教える側の親御さんがお金に対してそうあることが重要です。

金融庁は日本銀行や財務省と連携し、小学生向けにお金にまつわる豆知識やゲームを紹介するサイトを開設しています。多くのマネー教育の本も出版されています。また、筆者が所属するキッズ・マネー・ステーションが開催するキッズ向け、親子向けマネー教育の体験プログラムやワークショップ、大人向けのマネー教室等のイベントも多く開催されています。

ただ一つご注意いただきたいのは、たくさんの情報がネット上などで溢れていますので、正しい情報ばかりではないということです。その分別をする学びの場や情報を提供する、マネー教育に携わる我々プロのファイナンシャルプランナーや金融機関にも、今まで以上に姿勢や責任が問われる時代になってくるのではないでしょうか。  

子ども達のマネー教育をきっかけに、親御さん自身もマネー教育を通じて、これからの時代を生き抜く力を育んで欲しいと思います。

執筆者:野口太(のぐち だい)
株式会社Tanemaki取締役社長
キッズ・マネー・ステーション認定講師/ファイナンシャルプランナー
「教育」を柱とした様々な事業をおこなっており、「マネー教育」では子育て世代専門の独立系ファイナンシャルプランナーとして活動している。

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キッズ・マネー・ステーションとは、「見えないお金」が増えている現代社会の子どもたちに、物やお金の大切さを知り「自立する力」を持ってほしいという想いで設立。全国に約160名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行います。2018年までに1000件以上の講座実績を持っています。

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