借地権売買はどうやる?地主の承諾や借地の種類ごとの違いを解説

借地権売買はどうやる?地主の承諾や借地の種類ごとの違いを解説

土地を借りる権利である借地権は「借りる権利」そのものに経済価値があるため、売却時に借地権の値段が付きます。

借地権の売却は所有権の売却とは異なり、独自のルールや商習慣、相場等が存在します。借地権付き建物を売却するには、借地権売却の概要を知っておくことがコツです。

この記事では「借地権売買」について解説します。ぜひ最後までご覧ください。

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1.借地権の種類

借地権には、大きく分けて「普通借地権」と「定期借地権」の2種類があります。普通借地権とは契約期間満了時に更新ができる借地で、定期借地権とは更新ができない借地のことです。

1-1.普通借地権

普通借地権では、借主の権利が強く守られており、借主が更新を申し出ればほぼ更新することができます。普通借地権で地主(貸主)が更新拒絶をする場合には、借主を退去させるだけの正当な理由(正当事由)が必要です。正当事由が弱い場合には、正当事由を補完するための立ち退き料が必要となります。

仮に正当事由が認められても、借主は地主に対し建物を時価で買い取ることを請求(建物買取請求権)することが可能です。建物買取請求権は、借主が請求すれば地主の同意がなくても成立してしまう権利になります。地主が代金の支払いをしなければ、借主は明け渡しを拒むことができます。

このように、普通借地権では地主からの更新拒絶はほぼできない形となっており、借主は半永久的に土地を借り続けることが可能です。

普通借地権においては、借主が有する借りる権利の法的安定性が極めて高いことが特徴となっています。普通借地権は半永久的に土地を借り続けることができるため、借地権を設定する当初に借主が地主に対して権利金を支払うことが一般的です。

また、長期に借り続けるため、地代も低廉な価格で安く設定されていることが多く、例えば固定資産税の3倍程度となっていることがよくあります。

1-2.定期借地権

一方で、定期借地権は、地主の権利も守られており、契約期間が満了すると確実に借地契約が終了する借地権です。定期借地権には、「一般定期借地権」と「建物譲渡特約付借地権」、「事業用定期借地権」の3種類がありますが、建物用途や契約年数等に違いがあるだけで、更新ができない点はどの定期借地権も同じになります。

定期借地権には更新という概念はなく、契約満了後も土地を借りたい場合には、再契約が必要です。再契約とは、更新とは異なり新しい契約を締結することであるため、仮に地主がこれ以上貸したくないということであれば、契約は締結されません。

定期借地権では、契約満了時に借地契約を終了する際、貸主に正当事由や立ち退き料は不要であり、一般定期借地権や事業用定期借地権では建物買取請求権も排除できることになっています。このように、定期借地権では契約満了時に地主が確実に土地の返還を受けることができる点が特徴です。

定期借地権は確実に借地契約が終了してしまうことから、借地権設定時に借主が地主に権利金を支払うことは一般的にありません。権利金ではなく、場合によっては保証金を支払うことはあります。権利金とは戻ってこない金銭ですが、保証金とは契約終了時に戻ってくる金銭です。

また、定期借地権は借地期間が有限であるため、地代は相当地代となることが一般的となっています。相当地代とは、その程度の地代を支払うことが相当とされる地代のことであり、地代の適正額のようなものになります。相当地代の相場は、年間地代が更地価格の6%程度が目安です。

1-3.普通借地権と定期借地権の比較

普通借地権と定期借地権を比較すると下表のようになります。

項目 普通借地 定期借地
更新の有無 あり なし
権利金の授受 あり なし
地代の目安 固定資産税の3倍 更地価格の6%
地代 低廉 正常(相当)
借主の法的安定性 強い 弱い
借地権価格 高い 安い

普通借地権は借主の法的安定性が強く、地代も低廉であることが特徴です。普通借地権の借主には、半永久的に借りることができる「安定的利益」と、安く土地を借りられる「経済的利益」が備わっています。そのため、普通借地権の借りる権利の価値は高く、借地権の売却価格は高いのです。

それに対して、定期借地権は借主の法的安定性は弱く、地代も相当となっています。定期借地権の借主は、借地期間終了時に確実に土地を返さなければならないという「不安定な立場」にあり、地代も安くないことから「借り得感がない」という状態です。そのため、定期借地権の借りる権利の価値は低く、借地権の売却価格は安くなります。

2.借地権価格の相場

この章では借地権価格の相場について解説します。

2-1.普通借地の借地権を売却する場合

普通借地権の相場は、まず「借地権の取引が多い都市部」と「借地権の取引が少ない郊外」で異なる点がポイントです。

都市部は土地の希少性が高いため、お金を支払ってまで借地権を購入したいという人が多くなります。よって、都市部の借地権は取引価格が高くなる点が特徴です。一方で、郊外は土地が余っているため、わざわざお金を支払ってまで借地権を購入しようとする人は少なくなります。よって、郊外の借地権の取引価格は安くなる点が特徴です。

借地権価格の概ねの相場を示すと、下表のようになります。

地域 借地権の相場
借地権の取引が多い都市部 更地価格の70~80%程度
借地権の取引が少ない郊外 更地価格の40~60%程度

借地権の設定されている土地の権利は、借地権と底地で構成されています。底地とは、借地権の設定されている土地の所有権のことです。概念上は、借地権価格と底地価格を合計すれば更地価格になると考えられますが、実際の市場では借地権価格と底地価格を合算しても更地価格に届かないことがほとんどです。

借地権価格と底地価格を合算しても、更地価格にはならず、更地価格との間に隙間のような部分が生まれます。隙間の部分は、借地権の取引が多い都市部では狭く、借地権の取引が少ない郊外では広くなるイメージです。土地が余っている郊外では、所有権の土地を安く買えてしまうため、借地権も底地も取引市場が成熟しておらず、借地権価格も底地価格も安くなる傾向があります。

また、普通借地権は土地を安く借りているという「借り得」部分に経済的利益が生まれます。よって、地代が安いほど借地権の価格は高く、地代が高いほど借地権の価格は安いです。例えば、地代を固定資産税の10倍程度支払っている場合は、固定資産税の3倍の地代よりも借り得感は薄れるため、借地権価格は安くなります。

2-2.定期借地の借地権を売却する場合

定期借地権の売却相場は、借地期間の残存年数が短くなるほど安くなるという点がポイントです。定期借地権の権利は、半永久的に土地を借りることができる権利ではないことから、そもそも購入する人が少なく、取引自体もあまり行われません。購入需要が少ないことから、価格も低くなります。

定期借地権は取引相場がほとんど形成されていないことから、売却をするときは財産評価基本通達の規定を準用して価格を決めることが多いです。財産評価基本通達の基準は以下のようになっています。

残存期間 借地権価格
残存期間が5年以下のもの 更地価格の5%
残存期間が5年を超え10年以下のもの 更地価格の10%
残存期間が10年を超え15年以下のもの 更地価格の15%
残存期間が15年を超えるもの 更地価格の20%

出典:国税庁「貸宅地の評価」

例えば、残存期間が15年超のものでも、「更地価格の20%」です。普通借地権であれば、借地権の取引が少ない郊外でも更地価格の40%程度で取引されることもありますので、定期借地権の経済的な価値は低いことがわかります。定期借地権はいずれ土地を返さなければならず、また地代も相当地代を払っていることが多いため、売却時の価格は安くなるのです。

3.普通借地の借地権売却の流れと注意点

この章では、普通借地の借地権売却の流れと注意点について解説します。

3-1.地主の承諾を得る

借地権を譲渡する場合には、地主の承諾を得ることが必要です。借主が地主の承諾を得ないで借地権を譲渡した場合、地主は借地契約を解除することができます。借地契約を解除されてしまえば土地を借りる権利を失いますので、地主の承諾は取らざるを得ないということです。

ところが、法的には地主に承諾義務はありません。そのため、地主からは承諾を得られないこともあります。

地主から承諾を得られない場合には、裁判所に「譲渡等許可申立」をすることにより、裁判所が代替許可をする制度があります。譲渡等許可申立が認められれば、借地権を売却することは可能です。

譲渡等許可申立では、売却によって地主が不利にならないかどうかが判断されます。例えば、買主が反社会的勢力である場合や、建物が風俗店等のいかがわしい目的で利用されることが予想される場合、購入予定者の資力が不十分で地代の支払いに懸念がある場合等は許可が下りない可能性があります。

3-2.承諾料の発生に注意する

普通借地権を売却する場合には、借主は地主に対して譲渡承諾料を支払うことが一般的です。譲渡承諾料の相場は借地権価格の10%程度となっています。

譲渡承諾料の相場 = 借地権価格 × 10%

借地権の譲渡承諾料には法的な根拠はありませんが、一般的な取引慣行として授受されています。地主が普通に承諾する場合には、地主から譲渡承諾料が求められることが一般的です。また、譲渡等許可申立によって裁判所から許可を得る場合でも、譲渡承諾料が求められます。裁判所が指定する譲渡承諾料も、借地権価格の10%程度であることが通常です。

4.定期借地の借地権売却の流れと注意点

この章では、定期借地の借地権売却の流れと注意点について解説します。

4-1.契約書に従い手順を進める

定期借地権は、借地契約書が書面で締結されていることが通常ですので、譲渡時の扱いは借地契約書の取り決めに従い行うことが基本です。定期借地権は、法的には第三者への譲渡が認められています。定期借地権であっても譲渡するには地主の承諾は必要です。借地契約書においても、譲渡する場合には地主の承諾を得なければならないと定めている契約書は多いといえます。

ただし、定期借地権では譲渡承諾料は不要とすることが一般的です。定期借地権は地主が相当地代を受け取っていることが通常であるため、当事者の衡平を図るために地主への財産上の給付は必要ないとされていることが理由となります。

4-2.保証金の返還請求権の取り扱いに注意する

定期借地権で借主が地主に保証金を差し入れている場合は、譲渡時の保証金の返還請求権の取り扱いを確認することがポイントです。定期借地権の契約書では、よくある例として借地権を譲渡した場合、保証金返還請求権も第三者に譲渡すると定められていることがあります。

売却時に保証金返還請求権も買主へ譲渡してしまったら、借主は差し入れた保証金を取り戻せないことになります。保証金返還請求権の譲渡のように暗に借地権を簡単に譲渡させないための条項が含まれていることがありますので、売却前は借地契約書を再度見直すことがポイントです。

5.借地権付き建物の売却をスムーズに進める方法

この章では借地権付き建物の売却をスムーズに進める方法について解説します。

5-1.底地を買い取ってから売却する

借地権は、買主が購入後に地代を払い続けなければいけないことから、基本的に市場性は低いです。借権付建物をスムーズに売るには、借主が底地を買い取り、通常の所有権にしてから売却することが理想的な方法となります。

底地を借主が購入する場合、土地と建物の市場性が回復することから、第三者が底地を買うよりも底地価格は高くなることが一般的です。ただし、底地を買い取れば、いつでも自由に売却や建て替え等をすることができ、また金融機関の担保価値も上がるため、底地の買取は価値の高い行為といえます。

5-2.専門の買取業者に売却する

借権付建物をスムーズに売るには、専門の買取業者に売却する方法も一つです。買取業者の中には、底地や借地権の買取を専門に行っている不動産会社があります。買取は最終消費者に直接売るよりも価格が安くなりますが、すぐに売却できる点が特徴です。今すぐ現金化したい場合には、買取も有力な選択肢となります。

コラム~借地権を相続した場合の手続き~

借地権の権利は相続の対象であるため、相続人は地主に通知するだけで借地権を引き継ぐことが可能です。 地主の承諾は不要ですし、何らかの一時金も発生しないこととなっています。また、地主は相続を理由に借主に土地の返還や再契約を要求することもできません。

一方で、借地権には経済的な価値があることから、借地権は相続財産の対象です。借地権の相続税評価額は、普通借地権や定期借地権、使用貸借か否か等で求め方が異なります。相続税の納税義務のある人(全国で約8%程度とされる)は、税理士に依頼して借地権の相続税評価額を算出しておくことをおすすめします。

6.借地権売却時の譲渡所得と税金

借地権の売買は、普通借地権であることが多いため、この章では普通借地権を売却したときの譲渡所得と税金について解説します。借地権の売却でも、譲渡所得が発生すれば税金が課税されます。譲渡所得とは、個人が不動産を売却したときに得られる所得のことです。

譲渡所得は以下の求め方が基本式となります。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

譲渡価額とは売却額のことであり、借地権の売却価格となります。取得費とは、不動産の購入額のことです。売主が借地権の当初設定者の場合は「借地権設定時の支払権利金」、既に設定されていた借地権を購入していた場合は「借地権譲受時の取得価額」が基本的な取得費となります。

譲渡費用とは、売却に要した費用のことです。仲介手数料や印紙税が費用となりますが、譲渡承諾料を支払っている場合には譲渡承諾料も費用となります。

税金は譲渡所得に税率を乗じて求めます。

税金 = 譲渡所得 × 税率

税率は所有期間によって異なり、売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超のときは「長期譲渡所得」、1月1日時点において所有期間が5年以下のときは「短期譲渡所得」と呼ばれる税率を利用します。

借地権は所有権ではありませんが、所有期間のカウント方法は借地権の当初設定者であれば借地権設定時、既に設定されていた借地権を購入した人であれば購入時です。

長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は以下の税率を用います。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%
長期譲渡所得 5年超 15% 5%

※復興特別所得税の税率は、所得税に対して2.1%を乗じます。

まとめ

以上、借地権売買について解説してきました。

借地権には、大きく分けて普通借地権と定期借地権の2種類があります。普通借地権の相場は、都市部では「更地価格の7~8割」、郊外では「更地価格の4~6割」程度です。定期借地権の相場は残存期間によって異なり、財産評価基本通達の規定を準用するケースがよくあります。

普通借地権の売却では、地主の承諾が必要であり、承諾料は借地権価格の10%程度が相場です。定期借地権の売却では、一般的に承諾料は発生しませんが、保証金の返還請求権は譲渡する場合があります。

借地権をスムーズに売却するには、「底地を買い取ってから売却する」、「専門の買取業者に売却する」等がありました。借地権の売却で譲渡所得が発生すれば、税金が生じます。

本記事の内容を、借地権売買の参考にしていただけると幸いです。

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竹内英二(不動産鑑定士)
不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。大手ディベロッパーで長く不動産開発に関わってきたことから土地活用や賃貸借を得意としている。普段は不動産鑑定業だけではなく、法人や個人を問わず貸主や借主からの相談も多く受けている。大阪大学出身。

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