長期譲渡所得とは?税率や短期譲渡所得との違いをわかりやすく解説

河野 雅人
監修: 公認会計士・税理士 河野 雅人
長期譲渡所得とは?税率や短期譲渡所得との違いをわかりやすく解説

不動産売却で利益が出ると原則として税金を払います。売却する不動産の所有期間が長ければ、長期譲渡所得としての税率が適用されることになります。

長期譲渡所得の税率は何%なのか、長期と短期の線引きはどこで行われるのかなど、長期譲渡所得について詳しく解説します。

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長期譲渡所得とは

長期譲渡所得とは何か。基礎からわかりやすく説明します。

  • 読み方

ちょうきじょうとしょとく

  • 意味

土地や建物の譲渡所得に対する税金は、その不動産を所有していた期間の長短でかかる税率が変わります。所有期間が長い不動産を譲渡したときの所得に対しては長期譲渡所得の税率が適用されます。

  • 期間の定義

不動産を売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えていること。

  • 長期譲渡所得の税率

長期譲渡所得にかかる税金とその税額計算に使用される税率は次のようになっています。

税の種類 税率
所得税 15%
復興特別所得税 0.315%
住民税 5%
合計税率 20.315%

関連記事短期譲渡所得とは?不動産売却時の計算方法や長期譲渡所得との違いを解説

長期譲渡所得の計算方法

不動産を売却したことで長期譲渡所得があったかどうかは、次の順で確認・計算します。

(1) 譲渡益があるかどうかを計算する

譲渡損失となった場合は、税金はかからないため、次のステップへ進む必要はありません。

(2)課税譲渡所得があるかどうかを計算する

譲渡益があっても、特例の適用などで課税譲渡所得がなければ税金はかかりません。

(3) 税額を計算する

課税譲渡所得にそれぞれの税金の税率をかけて税額を計算します。

1. 譲渡益があるかどうかの計算

譲渡益があるかどうかは、次の計算式で求めます。結果がプラスになるならば譲渡益があるということです。

  • 譲渡益 = 譲渡価額-(取得費+譲渡費用)

譲渡価額とは、土地や建物の売却代金のことです。

取得費とは、売った土地や建物を購入したときの代金、仲介手数料や取得に際して支払った税金、購入後に支払った改良費や設備費などが含まれます。ただし所有期間中の減価償却費相当額は除かれますので注意してください。

また、土地や建物の取得費が分からないときは、譲渡価額の5パーセントを取得費とすることができます(実際の取得費が5%より少ないときも5パーセントを取得費として計上できます)。

譲渡費用とは、土地や建物を売却するときに支払った費用のことで、仲介手数料や印紙代、借家人に支払った立退料や建物の取り壊し費用などを指します。

2. 課税譲渡所得があるかどうかの計算

1のステップで譲渡益があった人だけがこのステップへ進みます。課税譲渡所得があるかどうかは、次の計算式で求めます。

  • 課税譲渡所得 = 譲渡益-特別控除

特別控除には「マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除」などがあります。特定の条件に該当したケースでは、譲渡益から一定額を差し引くことができるのが特別控除です。

たとえば譲渡益が1,000万円あったとしても、特別控除を利用して譲渡益1,000万円をすべて控除し、課税譲渡所得をゼロにすることも可能です。課税譲渡所得がゼロならば、当然譲渡所得にかかる税金は発生しません。

3. 税額の計算

適切な費用計上、特別控除の利用をしてもなお課税譲渡所得があるならば、税額を計算するステップへ進みます。

譲渡所得は、給与所得などと合計する総合課税方式とは違い、独立した所得として分けて計算する分離課税方式が採用されています。そのためほかの所得(不動産所得や事業所得など)で損失があったとしても、損益通算で譲渡所得を減らすということはできません。

長期譲渡所得の合計税率は前述のとおり20.315%です(所得税:15%、復興特別所得税:0.315%、住民税:5%)。課税譲渡所得にこの税率をかけて税額を計算します。

なお、相続した土地や建物の売却だった場合は、被相続人(亡くなった人)がその不動産を取得した日が保有期間の起点となります。

特別控除の特例

譲渡所得の税金があるかどうか確認するうえで、特別控除の果たす役割は非常に大きいもののなります。どのような特例があるのか、確認しましょう。

マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除

自分が住んでいる(または住んでいた)家を売るときに、特に重要な特例です。この特例が利用できれば譲渡益から最大3,000万円を控除できます。

特例利用の主な条件は、今住んでいるまたは住まなくなってから3年目の12月31日までの売却であること、売却先が親子や夫婦など特別な関係にないことです。建物を取り壊して更地となっている土地の売却であっても期限等の条件を満たせばこの特例を使うことができます。

国の事業等のために売却した場合の特例など

公共事業など特定の事業の目的で土地を売却(収用)した場合は、その理由ごとに以下の特例が用意されています。

  • 公共事業などのために土地建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
  • 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
  • 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例

また、次のような取引に対する特別控除の特例もあります。該当するかどうか、確認しておきましょう。

  • 平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例
  • 農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例
  • 低未利用土地等を売った場合の100万円の特別控除の特例

マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除と住宅ローン控除

マイホームを売った後に、住宅ローンを借り入れて新居を購入する予定がある人は売却時の「マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除」と購入時の「住宅ローン控除」が選択制であることを頭に入れておきましょう。

これはどちらか一方の制度しか利用できないため、どっちが得になるのかをあらかじめ決めておかなければならない、ということです。人によって買い先行になるか売り先行になるかは違いますが、先行するほうの制度を条件反射的に利用してしまわないように十分注意してください。

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

譲渡所得の税金が発生することになった場合でも、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていたならば、譲渡所得6,000万円以下の部分については税率が次の表のように軽減されます。

税の種類 軽減前 軽減後
所得税 15% 10%
住民税 5% 4%

※復興特別所得税が別に所得税の2.1%相当額加算されます。

この軽減税率の特例は「マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除」と併用できます。

短期譲渡所得となるか長期譲渡所得となるか

土地や建物の譲渡所得に対する税金は、その不動産を所有していた期間の長短で税率が変わります。所有期間が長い長期譲渡所得のほうが圧倒的に税率が低くなるため、短期か長期かの境目にある人は十分に注意する必要があります。

  • 短期譲渡所得

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下の土地や建物(出典:国税庁

  • 長期譲渡所得

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える土地や建物(出典:国税庁

具体的な日付を使って考えてみましょう。2017年2月1日に取得したマンションを2022年4月1日に売却するとします。取得から売却までの期間を暦の上でカウントするなら5年と2ヵ月です。しかし、上記定義にあるように所有期間は譲渡した年の1月1日現在で5年以下か5年超かの判断になります。この例では2022年1月1日時点では取得から4年と11ヵ月の経過なので、短期譲渡所得の扱いです。このマンションが長期譲渡所得として認められるのは2023年の1月1日以降の売却となった場合です。

なお、取得日および譲渡日は契約日ではなく引渡日を指します。また期間は居住期間ではなく所有期間ですので、間違いのないようにしましょう。

長期譲渡所得の例と税額メリット

最後に長期譲渡所得がかかるケースをシミュレーションしてみましょう。シミュレーションの条件は次の通りです。

・取得日:1970年4月1日
・売却日:2022年3月31日
・譲渡価額:4,500万円
・取得費:225万円
・譲渡費用:300万円
・特別控除:マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除

課税譲渡所得は4,500万円-(225万円+300万円)-3,000万円=975万円です。マイホームを売ったときの軽減税率の特例が利用できますので、975万円×14.21%=138万5,400円(100円未満切り捨て)です。

今回のシミュレーションでは取得費が分からなかったため5%を取得費として計上しました。そのため譲渡益がかなりあり、特別控除を利用しても課税譲渡所得が残ってしまう状態でした。5%計上ルールは実際の取得費を計上するケースに比べ数値的にはデメリットとなることがほとんどです。正確な取得費で計上できるように資料を集めましょう。

また、今回は十分に長期譲渡所得に該当する所有期間があったため税率メリットを生かすことができました。もし短期譲渡所得と長期譲渡所得の境目で売却を考えているなら、課税譲渡所得がいくらになるのかあらかじめシミュレーションし、損が出ないように売却時期を検討しましょう。

不動産売却を検討するなら、まずは複数の不動産会社に相談してみよう

ここまで、長期譲渡所得について、税率や短期譲渡所得との違いや、不動産の所有期間の長さによる税率に違いや、自宅売却時の特別控除・軽減税率による節税効果について解説してきました。

ただし、特別控除・軽減税率の細かい要件や、書類準備、具体的な計算については、不動産のプロなどの専門的な知識が必要になる場面もあります。まずは、複数の不動産会社に相談し、アドバイスを受けながら不動産売却を賢くスムーズに進めましょう。

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河野 雅人
監修
公認会計士・税理士
河野 雅人

東京都杉並区に事務所を構え、高品質・低価格のサービスを提供している。趣味はスポーツ観戦。大手監査法人勤務の後、会計コンサルティング会社を経て、税理士として独立。中小企業、個人事業主を会計、税務の面から支援している。独立後10年間で法人税申告実績約300件、個人所得税申告実績約600件、相続税申告実績約50件。セミナー、研修会講師年間約10件。

執筆
2級ファイナンシャルプランナー
鈴木玲

出版社で5年、Webメディアで10年の勤務後に独立。独立後最初の確定申告で大きくつまづき、以後、本業のかたわら独学で社会保険、不動産、金融等の知識習得に励む。2018年、ファイナンシャルプランナーに。得意ジャンルは不動産で、実生活では中古マンションの購入、リフォーム、賃貸、売却を経験。やさしい日本語でにっぽんの制度や仕組みを説明する「やさしい にっぽん」を企画・運営。ほか執筆記事にパートだから社会保険に加入したくない。【2022年の条件は?】など。

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