アパート経営の利回り、最低水準は何%?表面利回りと実質利回りの違いとは

アパート経営の利回り、最低水準は何%?表面利回りと実質利回りの違いとは

これからアパート経営に乗り出そうと考えているなら、利回りへの理解は不可欠です。購入や新築で取得したアパートがどれくらいの賃料収入を得て、取得から何年目で元が取れるようになるのか。広告で利回りを目にしたとき良し悪しの基準となる目安はどれくらいで設定すればいいのか、など、最低でもこれだけは知っておきたい利回りの基礎から学んでいきましょう。

まずはふたつの利回り、「表面利回り」と「実質利回り」からです。

表面利回りの計算方法

表面利回りとは、年間の家賃収入を物件価格で割り戻した数値です。式にすると次のようになります。

  • 表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100

たとえば表面利回り5%の物件があるとします。この物件を同条件で20年間所有したら、家賃収入が物件価格と同等になり、いわゆる「元が取れた」という状態になります。

実質利回りの計算方法

実質利回りとは、年間の家賃収入から諸経費を差し引いたものを、物件取得価格(物件価格+取得時諸費用)で割り戻した数値です。式にすると次のようになります。

  • 実質利回り=(年間家賃収入-諸経費)÷(物件価格+取得時諸費用)

毎年の実質利回りを加算していって、その数値が100%に達したら「元が取れる」という点は表面利回りと同様です。ただし、上の計算式から分かるように、実質利回りは表面利回りよりも分子は小さく、分母は大きくなりますので、利回りとして出てくる数値は、表面利回りより小さくなります。そのため元が取れるようになるまでにかかる年数は、実質利回りのほうが表面利回りよりも長くなります。

実質利回りに含める諸経費、取得時諸費用

実質利回りの計算には、諸経費および取得時諸費用が大きな要素となります。どのような項目があるか、確認してみましょう。

税金

諸経費として毎年かかる税金は固定資産税と都市計画税です。取得時諸費用では不動産取得税のほか、印紙税、登録免許税などがあります。

保険料

万が一に備えて加入する火災保険、地震保険、損害保険などの保険料です。

修繕、リフォーム費

共用部分の修繕や、各部屋が老朽化した際に行うリフォーム費用です。築年数が経過するほどこの費用は増える傾向にあります。

管理費

共用部分にかかる光熱費のほか、管理業務を業者へ委託するのであればその費用がかかります。

入居準備費用

入居者を迎え入れるためにかかる費用です。不動産会社へ支払う仲介手数料や、鍵の交換費用、入居前の清掃費用などがかかります。これらは契約によって入居者負担とするケースもあります。

ローン関連費用

ローンを借り入れているなら利息分の支払いも物件価格とは別に計算しておく必要があります。借入時にかかる手数料などは取得時諸費用として計上します。

その他費用

確定申告に備え税理士などへ業務を依頼する場合はその費用が発生します。また、中古一棟アパートを購入した場合は不動産会社へ支払う仲介手数料が取得時諸費用としてかかります。

表面利回りと実質利回りの違いと使い分け方

表面利回りと実質利回りの違いはどこにあったでしょうか。それは、それぞれの計算式を見れば分かるように、諸経費を計算に入れるかどうかです。

一般的に「元を取る」あるいは、アパート経営で「利益を出す」ことを考えるなら、諸経費を入れて計算する実質利回りで捉えるのが当然です。

では、なぜ表面利回りが存在するのでしょうか。これは、実質利回りはその年によって数値に変動が起こりやすいからです。アパートの建物全体におよぶ大規模な修繕をする年と部屋単位での小規模なリフォームをする年、ほとんど修繕もリフォームもしない年では諸経費の額が全く違います。どの年の実質利回りを示すかで、その物件に対する印象は大きく変わってしまい、フェアな比較ができなくなってしまいます。

これに対し、表面利回りは年間家賃収入と物件価格だけで計算できますので、年間家賃の見込みを同条件(空室率0%、空室率10%など)でそろえておけば、物件間の比較が比較的スムーズに行えます。ここでいう比較とは厳密なものではなく、明らかに劣っているアパートに標をつける程度の意味合いです。諸経費を考慮しない表面利回りでは、これができることの限界です。

整理すると、表面利回りはたくさんのアパートのなかから明らかに条件が劣る物件をふるいにかけるときに有効な指標、実質利回りは特定の物件でその収支を考慮し、「いつ元を取れるのか」を知るときに利用する指標となります。

利回りと利益率

利回りと似た言葉に「利益率」があります。利回りと利益率は物件を評価する際に見るべきポイントが異なりますので、違いを正しく理解しておく必要があります。利回りについてはすでに説明したので、ここでは利益率を確認しましょう。

利益率とは利益(売上高から諸経費を差し引いたもの)を、売上高で割り戻した数値です。式にすると次のようになります。

  • 利益率=利益(売上高-諸経費)÷売上高×100

利益率が高いほど、売上に占める利益の割合が高くなるので、好ましい状況と言えます。

簡単な事例でアパート経営の利益率をシミュレーションしてみましょう。年間家賃収入が800万円のアパートで、諸経費は250万円かかっていたとします。利益率は(800万円-250万円)÷800万円で、68.75%になります。

諸経費を考慮するという点から、利益率は実質利回りと近しい関係性にあります。実質利回りを算出するなら合わせて利益率も出しておくと、その物件をより複合的に評価できるようになります。

アパート経営での利回りの目安・相場

利回りとは何か。しっかり意味が理解できたら、次はより実践的に数値を使いこなす番です。ここでポイントとなるのは利回りの目安や相場です。

初めてアパート経営の利回りに触れる人は、表面利回り5%、実質利回り3%という数値を最初に頭に入れてください。これは利回りの最低水準の目安となるものです。

区分所有マンションの一室などであれば、利回りがこれより低くとも、売却によって帳尻を合わせることは可能ですが、アパート経営は賃料収入が成果のすべてと言っても過言ではありません。表面利回り「5%」は元が取れるまで「20年」、実質利回り「3%」は元が取れるまで「34年」はかかる計算ですから、かなり長期戦であることが分かると思います。利回りが最低水準よりも低いということは、元を取るまでもっと時間がかかるということです。それではアパートの立地や築年数等の条件にかかわらず、またプランをどれほど正確に計算したところで、お金を生むアパートにはならないでしょう。

表面利回り5%、実質利回り3%未満の物件は無条件で候補から外すという思い切りの良さがあってもいいかもしれません。

では、利回りが最低水準の目安である5%(表面利回り)、3%(実質利回り)を上回っていたとしたら、その数値が高ければ無条件に良いアパートかというと、そうとも限りません。その理由を新築と中古の比較で説明してみます。

新築一棟アパートと中古一棟アパートの違いで特に際立つのは、建物の修繕にかかる費用が発生するまでの期間の違いです。

キッチンや浴室などの水回りを例に考えてみましょう。築3年くらいまではほぼ修繕することはないでしょう。築5年でも軽度な不具合があるかないかです。築10年くらいになると水漏れや設備の老朽化に伴う故障などがぽつぽつと出てくるころです。修理費用を捻出し、この先少しでも長く使えるように対処するのがこの時期です。築20年、30年になると小手先の修理だけではどうにもならなくなります。シンクやユニットバスを丸ごと取り換えるとなると、数十万円から百万円を超える費用が必要となります。

水回りを例に出しましたが、他の部分もサイクルこそ違えど、築年数が経過するほど修繕費用がかかるという点では同じです。

では、ここに新築と中古の一棟アパートがあるとします。年間家賃収入と物件価格から計算する表面利回りは次の表のとおりです。

新築 中古
年間家賃収入 576万円 468万円
物件価格 5,000万円 2,000万円
表面利回り 11.5% 23.4%

表面利回りはどちらも最低水準の目安である5%を大きく上回っています。実際、広告などで見る売り出し中のアパートの表面利回りが10%台、20%台となることは、それが相場とまでは言わないまでも珍しいことではありません。物件のことをよく知らなければ、利回りが2倍以上もある中古に興味を持つ人のほうが多いのではないでしょうか。

では、ここに諸経費をプラスして実質利回りも計算してみましょう。今回は新築と中古の差異を浮かび上がらせることが目的なので、諸経費、取得時諸費用は修繕費のみとします。また実質利回りにありがちな年ごとの凸凹を抑えるため、諸経費は取得から5年間の平均値とします。

新築 中古
年間家賃収入 576万円 468万円
年間諸経費(修繕費) 10万円 120万円
物件価格 5,000万円 2,000万円
取得時諸費用(修繕費) 0万円 400万円
表面利回り 11.3% 14.5%

表面利回りではほぼ倍の違いがありましたが、実質利回りではその差はかなり接近しています。上記シミュレーションは5年間の平均値で行いましたが、仮にこれを10年としたら、あるいは表面利回りは逆転し、新築のほうが高くなるかもしれません。

このように、修繕費がかかるまでのサイクルが長い新築では取得直後の実質利回りと表面利回りは近しい数値となり、反対に修繕費の発生を常に考慮しなければならない中古では実質利回りが表面利回りで期待したほどには高くならないケースが多く見られます。

新築と中古以外にも、たとえば家賃の高い東京や大阪などの都心部と地方とでは、年間家賃収入に大きな違いが出ますから、同じくらいのコストをかけて新築したアパートであっても、計算上は東京のアパートのほうが利回り(表面、実質ともに)が高くなります。

したがって、アパート経営での利回りの目安や相場を判断するのであれば、居住用の住まいを買ったり、借りたりするときと同様に、条件が似通った物件間で数値比較をすることが不可欠です。何ら条件設定がないなかで目安や相場として出されている利回りがあっても、あくまで参考の範囲内にとどめるようにしましょう。

利回りを見るとき、使うときの注意点

アパート経営の利回りをさらに正確なものとすべく、話を先へ進めましょう。

ハイリターンを狙うときは空室率に注意

利益をより大きくしたいのであれば、投資額が大きく高額な賃料収入が期待できる都心部の新築一棟アパートが条件に合致します。都心部のアパートは需要の高さと高額賃料が期待できるため、机上の利回り計算ではずいぶんと魅力的な投資に映るかもしれません。一方で空室率を読み間違えたときは、非常に厳しい結果をもたらすリスクがあるとも言えます。

同じ空室率の読み間違えでも、投資額を抑えられる地方のアパートであれば減少する収益の絶対額は大きくないので、まだ立て直しはしやすいでしょう。

アパート経営では利回りだけでなく金額の多寡で物件を比較するようにしましょう。

ローンを組んだら利回りは悪化

高額なアパートを取得するためにローンを組むことも珍しくありません。ローンでお金を借り入れるということは、諸経費に金利負担分が上乗せされますので、当然に利回りは悪化します。つまり同じ物件でも実質利回りはローンなしで購入する人のほうが高くなり、ローンを借り入れる人はその条件次第によって計算結果が変わることになります。自分がどの程度の条件で借り入れをできるのか。利回り計算にはお金を用意する力量も反映されます。

計算ミスはご法度。計算に自作のエクセル活用も?

利回りの計算は条件を細かく設定すればするほど実態に近づく可能性が高まります。一方であまりに多くの項目が入り乱れると計算間違いや項目の抜け漏れが発生するリスクも出てきます。そのためエクセルなどの表計算ツールに計算方法を入力し、自作のテンプレートを用意しておくこともひとつの解決策になります。とりわけ物件を比較する際には、こうしたツールがあると便利です。

執筆
オウチーノニュース編集部

マイホーム購入のダンドリ、不動産売却にかかる費用、賃貸物件の探し方など、住まいの基礎知識から契約、税金といった専門的な内容までわかりやすく解説。宅地建物取引士や司法書士、税理士、FPなどの不動産・お金の専門家が、監修・執筆した記事を配信しています。
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