ウッドショックはいつまで続く?「戸建て購入はあり?」原因や影響、今後の見通しまで

ウッドショックはいつまで続く?「戸建て購入はあり?」原因や影響、今後の見通しまで

世界的な木材不足によって引き起こされた「ウッドショック」。
すでに発生から1年以上を経過していますが、ウッドショックは幕引きとなったのでしょうか。

新型コロナウイルスに始まり、ロシア・ウクライナ情勢にも影響を受けていると言われるウッドショックの今をご紹介します。

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1. ウッドショックとは?

2021年が明けて間もなく、世界レベルで木材価格の急激な値上がりが発生しました。これはウッドショックと呼ばれる現象で、当時ニュースでも盛んにこの言葉は取り上げられていました。

ウッドショックとは、わかりやすく言うと「建築用木材の供給が需要に追いつかないことに起因する木材価格の高騰」です。ウッドショックのはじまりはアメリカと言われています。
2021年当時、新型コロナウイルスの影響で製材所等が休業に追い込まれ木材の供給が滞る一方で、新築住宅需要は急増。その結果、木材価格がそれまでの価格推移から逸脱する大幅な値上げとなりました。

経済産業省がまとめた木材・木製品・林産物の輸入価格の動向を日本銀行の企業物価指数(輸入物価指数)で確認したグラフが以下のものです。

企業物価指数(輸入物価指数)

このグラフは状況を非常にわかりやすく捉えています。2015年からの安定した価格推移が2021年に一転。集成材や製材は2020年12月と2021年12月では2倍以上の値上がりとなっています。
丸太や合板は比較的落ち着いているようにも見えますが、2022年になっても上昇は続いていて、まだピークアウトを迎える様子がありません。

日本の住宅で使用される木材は6割以上が輸入に頼っていると言われています。そのため、世界的な木材価格の値上げは、日本での住宅の販売価格にも影響を及ぼします。当時のニュースが懸念したのもまさにこの点でした。

また、ウッドショックによってハウスメーカーや住宅資材販売などを手掛ける会社の株価にも影響が見られました。これらはウッドショック関連銘柄など言われ、関連銘柄のなかでも国産木材の活用に長けたハウスメーカーなどは株価上昇の恩恵を受けたとされています。

2022年9月現在、当時と比べるとウッドショックがニュースに登場する機会は多くはありません。
しかし、ウッドショックが完全に収束し、2020年時点の価格にまで戻るまでには至っていません。ニュースワードとしては目新しさはないものの、これから新築戸建てを建てたいと考えている人は、ウッドショックをないものとして考えることはできないでしょう。

2. ウッドショックの原因

ここであらためてウッドショックがなぜ起こったのか、その原因、理由について考えてみましょう。

原因1. コロナ禍での戸建て住宅建設数アップ

前述でも触れましたが、今回のウッドショックのはじまりはアメリカと言われています。
きっかけのひとつは新型コロナウイルスです。コロナをきっかけにリモートワークが進み、郊外での住宅購入意欲が旺盛となりました。自宅時間が長くなったこともあり、リフォームも活況を呈していたようです。

財政出動や低金利政策が住宅購入を後押しし、その結果、木材が不足しウッドショックを引き起こすこととなりました。
なお、住宅資材としての木材需要の高まりはアメリカのみならず、世界中のあちこちで起きていて、なかでも中国の影響はかなり大きいものがあったと言われています。

原因2.コロナ禍での国際海上輸送の滞り

住宅用木材の6割以上を輸入に頼る日本では、海上輸送の停滞やコストアップも木材価格高騰をもたらした理由のひとつとなりました。
また、コロナ以前より指摘されていたコンテナ生産量の低下、港湾作業員不足による処理能力の低下などもあいまって、ウッドショックはさらに加速したという指摘もあります。

原因3.ロシア・ウクライナ情勢

コロナの収束を見る前に、ロシアとウクライナの紛争問題が勃発しました。

なぜ、ロシア情勢が木材価格に影響するのでしょうか。その理由は日本はロシアからアカマツを多く輸入しているためです。
対ロシア経済制裁により、アカマツは輸入禁止リストに加えられました。これによってロシアからの輸入はストップ。日本国内の木材不足に拍車がかかることになりました。

3. ウッドショックによる影響

ウッドショックによる影響

ウッドショックの影響がどのようなものか。これから家を買う人が留意すべき点を考えてみましょう。
契約後にやっぱりやめる、とならないよう、今の特徴をよく抑えておきましょう。

建築費の増大

ウッドショックの影響がもっとも分かりやすく出るのは、住宅価格の値上げです。国土交通省が毎月公表している「建設・建築工事費デフレータ」のうち、木造住宅の数値をピックアップしたのが以下の表です。2015年を基準(=100)に、2020年以降の数値を四半期でまとめました。

年四半期
2020年1-3月 107.7
2020年4-6月 107.1
2020年7-9月 106.2
2020年10-12月 106.8
2021年1-3月 107.5
2021年4-6月 110.2
2021年7-9月 115.2
2021年10-12月 118.2
2022年1-3月 119.7
2022年4-6月 122.1

建築費が上がり始めたのは2021年の4-6月期で、そこからは駆け足で上昇が続いていることがわかります。
ウッドショックが取りざたされてしばらくの間動きがなかったのは、建売などを扱うハウスメーカーに一定の在庫が用意されていたからです。

在庫がなくなり新たな仕入れを行うタイミングで、ウッドショックの影響が顕在化したのが、2021年の4-6月期頃だったのではないかと、このデータは示唆しています。

建築費の値上がりは、販売価格の値上がりと直結します。「坪単価がずいぶんあがっている」というような声は、ウッドショック直後よりも、今のほうが当てはまるケースが多いようです。今の住宅価格は、ハウスメーカーの建売や注文住宅を選択する人にとって、好ましいとは言い難い状況にあります。

今後は総額を抑えるため、家を狭くするというプランも当然出てくるでしょう。戸建ての価格を見るときは総額だけではなく、坪単価でのチェックが不可欠になります。

中古住宅価格への影響

ウッドショックはこれから建てる家、新築のみならず、やがては中古市場へも影響は波及します。

値上がりや、それ以前に発生していた工期遅れによって新築を諦めた人は少なからずいました。中には新築を契約したけれど、工期遅れどころかまったく工事の見通しが立たないというケースもあったようです。

こうした状況で、新築から中古へと相当数の需要が流れ込みました。需要が旺盛であり、供給数が変わらなければ価格は上昇します。中古の住宅価格は建築資材の高騰に間接的な影響を受ける形で、この間、値上がりを続けているのです。

4. ウッドショックへの対応策は?

ウッドショックへの対応策

木材需給のひっ迫解消に向けて、林野庁では「国産材転換支援緊急対策事業」の実施を決定しています。林野庁のホームページによると事業予算は4,024百万円で、目的は「国産材製品の増産に伴う原木・製品の運搬や一時保管、国産材製品への転換を図る設計・施工方法の導入や普及を臨時的に支援」することです。助成金を与えることで国産木材を使用して家を建てるコストを削減し、需要を高める狙いがあります。

川上から川下までの関係者による需給情報の共有を促進するために国産材の安定供給体制の構築に向けた中央需給情報連絡協議会を開催するなどの取り組みも見れらます。

政府対応はほかに国土交通省によるものがあります。2021年9月の段階ですでに「国土交通省における木材の価格高騰・需給逼迫への対応について」で、ウッドショックの影響や対応についてまとめられています。
「安定的な木材確保に向けた先導的取組」の支援強化に向け、既存の「地域型住宅グリーン化事業」を拡充していく点についても言及されています。令和4年度の地域型住宅グリーン化事業では「長期優良住宅」「認定低炭素住宅」で補助金額が前年度よりも増えるといった動きもあります。

ウッドショック解消のための今後も助成金や補助金、給付金など形は変われど、何かしらの政府対応がプラスされていく可能性はあります。これから戸建てを新築する予定がある人には、給付金等の情報をしっかりと集めることが求められます。

5. ウッドショックはいつまで続く?

現在の懸念はウッドショックの終わりがいつになるのか、その見通しがはっきりしないことです。
新型コロナウイルスは完全に落ち着いたとは言えないかもしれませんが、コロナとの共存という形が進み、産業がすべてストップしてしまうような事態にはなっていません。そのため、ウッドショックも収束に向かうと思われました。

しかし、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻によって、落ち着いたと思われていた木材の供給回復に、再びリスクが生じているというのが最新の見方です。
前述のとおり最新の「建設・建築工事費デフレータ」では、2022年4-6月期の木造住宅の数値も引き続き上昇を示していました。これではウッドショックは終了したとは言えないでしょう。

現在、政府対応などもあり、木材価格が右肩上がりでいつまでも続くことは考えづらいですが、価格が高止まりし、終わりの見通しが立たない状態が続く可能性はゼロではありません。

これから戸建てを新築したり購入する人はいろいろな情報をもとに、ウッドショックの収束・終了を判断していく必要があります。とりわけ木材供給の回復が早期に図られるかどうかがポイントになります。メディアや工務店など関係者からの情報収集を引き続き行うようにしましょう。

6. ウッドショック下でも住宅購入はあり?

ウッドショックの長期化が予想されていますが、状況が落ち着くのを待つことが必ずしも正解とは限りません。住宅購入のタイミングは他にも金利や住宅ローン控除など税制上の優遇措置期限だったりと、いろいろな観点から検討が加えられるべきものです。
また、家族のライフスタイルにあったタイミングかどうか、という点も重要です。ウッドショックが落ち着くまで待とう、と決めてかからず、自身や家族のタイミングにあった住宅購入や住み替えを検討してください。

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執筆
オウチーノニュース編集部

マイホーム購入のダンドリ、不動産売却にかかる費用、賃貸物件の探し方など、住まいの基礎知識から契約、税金といった専門的な内容までわかりやすく解説。宅地建物取引士や司法書士、税理士、FPなどの不動産・お金の専門家が、監修・執筆した記事を配信しています。
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