不動産詐欺・詐欺まがいの手口には何がある?10個の事例を解説!

不動産詐欺・詐欺まがいの手口には何がある?10個の事例を解説!

残念ながら、不動産の世界には詐欺や詐欺まがいの手口が存在します。不動産は金額が大きく、一般消費者の知識が不十分となりやすい分野であることから、詐欺グループに狙われやすいです。

また、詐欺とは言えなくても、不動産業界には詐欺まがいの手口も存在します。不動産の詐欺や詐欺まがいの手口にはどのようなものがあるのでしょうか。この記事では「不動産詐欺」について解説します。

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1.最近増えてきた詐欺ニュース

詐欺のニュース

最初に最近増えてきた詐欺ニュースについて解説します。

1-1.原野商法の「二次被害」

原野商法の「二次被害」とは、バブル時代に投機目的で原野を買った人をターゲットにした最近の詐欺です。

原野商法とは、ほとんど価値のない原野や山林について、実際には開発計画などないにも関わらず「このエリアは開発計画が予定されているから、将来高値で売れる」などと言って、上がる見込みのない土地を高値で売りつける商法です。1970~1980年代にかけて被害が多発しました。

このように過去に原野を売りつけられた人をターゲットに、嘘の情報によって、さらに原野を売りつけたり、整地費用や管理費を請求したりするのが、原野商法の「二次被害」です。

原野商法の「二次被害」の手口には、「売却勧誘下取り型」と「売却勧誘サービス提供型」、「管理費請求型」の3種類があります。

売却勧誘下取り型とは、原野を安く買い取られ、別の原野を高く売りつけられるという詐欺です。「次に購入する原野は既に買主が決まっていて転売益が得られる」という嘘情報を信じさせて、売りつけてきます。その後は、詐欺集団と二度と連絡が取れなくなります。

売却勧誘サービス提供型とは、原野を購入したい人がいるという嘘によって、高額な整地費用を請求される詐欺のことです。先に整地費用だけ払わされ、その後は詐欺集団と連絡が取れなくなります。もちろん、原野の売却も行われません。

管理費請求型とは、知らない管理会社から突然、管理費用を払えと言われる詐欺です。10年分、または20年分の管理費用を根拠なく請求してくる詐欺になります。

1-2.リースバック詐欺

リースバックとは、住みながら家を売却する資金調達方法です。リースバック会社に売却後、リースバック会社に家賃を支払い続けることで今の家に住み続けることができます。リースバック自体は詐欺ではありませんが、中には強引に営業されて契約をしてしまうケースがあるようです。

リースバックは主に高齢者が利用します。リースバック詐欺の手口は、高齢者の孤独やお金に関する不安に付け込み、深夜まで自宅に居座り、強引に契約を取るというものです。

リースバックの売却価格は、通常に売却するよりも2~3割も安くなります。また、リースバック後の年間家賃は売却価格の10%前後です。リースバックは、この家賃設定が異様に高いという点が利用者にとって問題といえます。

例えば、本来、仲介なら3,000万円で売れる物件をリースバックで売ると2,400万円程度(2割減で想定)です。年間家賃は240万円程度(=2,400万円×10%で想定)ですので、月の家賃は20万円にもなります。

家賃の高さに後から気付き、慌てて売却の契約を解除しようとしても多額の違約金(手付金の倍額)を払わなければならず、契約解除ができなくなる人も多いです。本ケースでは手付金は240万円程度(売却価格の10%)ですので、契約解除には倍額の480万円が必要となります。

リースバックは往々にして安く売って高く借りることから、経済的なメリットはありません。強いてメリットを挙げれば、今の家に住み続けられることくらいです。契約を締結する前に、親族か信頼できる人に相談することをおすすめします。

関連記事:家を買っても住み続けられるリースバックとは?

1-3.住宅ローンの不正利用

住宅ローンの不正利用とは、詐欺グループに騙されて、強引に住宅ローンを使って投資物件を買わされるという詐欺です。

手口としては婚活サイトやSNS、不動産投資セミナー等で知り合った人が、一定の信頼関係を築いた後に不動産投資の話を持ち掛けてきます。住宅ローンの不正利用は、20~30代の比較的若い人が騙されるケースが多いようです。

詐欺グループの目的は、投資物件を高く売りつけることにあります。購入後は連絡が取れなくなることが一般的です。

住宅ローンは不動産投資ローンよりも金利が安いため、住宅ローンを使うと安く購入できるように見えます。銀行に虚偽の申請書を提出し、住民票をいったん移して、あたかもマイホームを購入したかのように偽装します。

住宅ローンの不正利用は、そもそも銀行に対する詐欺行為であり、犯罪です。高い投資物件を買わされた挙句、銀行から警察に通報される、もしくは損害賠償請求をされることもあり得ます。

2.売却でみられる詐欺まがいの手口

売却でみられる詐欺まがいの手口について解説します。

2-1.査定価格を高めに出す

詐欺ではありませんが、売却では不動産会社が査定価格を意図的に高めに出してくるという詐欺まがいの行為も存在します。

不動産査定とは、中古物件を売却する際、売り出し価格を決めるために最初に行う価格調査のことです。売主からすると、不動産査定は高く売ってくれる不動産会社を探す行為といえます。

不動産査定は、新築工事に例えると施工会社の見積もりに相当します。一般的に工事費を抑えるために見積もりは複数の施工会社に依頼することが多いです。不動産査定も、高く売るために複数の不動産会社に依頼することがよくあります。何社に依頼しても、工事の見積もりは無料なように、不動産査定も無料です。

ただし、工事の見積もりと不動産査定には大きな違いがあります。工事の見積もりは、施工会社が提示した金額で請け負うという確定した価格です。

一方で、不動産査定は、不動産会社が提示した金額で売れる保証をするものではありません。あくまでも予想価格であり、不動産会社は提示した金額に対し何も責任を負わないのです。

提示した金額に責任を負わないのであれば、不動産会社には「高い査定価格を提示して媒介契約を取る」という意識が働いてしまいます。媒介契約とは不動産会社が売主と締結する仲介の契約のことです。

売れるはずのない価格を提示して仲介の契約だけを取り、実際に売却活動を始めたら売主に売り出し価格の値引きを迫って、結局は安く売ることになります。

なお、繰り返しますが不動産会社が高い査定価格を出すこと自体は決して詐欺ではありません。大手や中小といった会社の規模に関わらず、高めの査定価格が提示されることはあります。そもそも売却を保証する価格ではないわけですから、外れても詐欺にもならないといえます。売主としては、高過ぎる査定価格もあるという事実を知っておくことが重要です。

2-2.強引に専任媒介に誘導してくる

詐欺ではありませんが、強引に専任媒介または専属専任媒介の契約に誘導してくる会社もあります。媒介契約には、一般媒介と専任媒介、専属専任媒介の3種類があります。

一般媒介とは同時の複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約です。専任媒介と専属専任媒介は、1社にしか仲介を依頼できない契約になります。

専任媒介と専属専任媒介の違いは、専任媒介は「自己発見取引」ができ、専属専任媒介は「自己発見取引」もできないという点です。「自己発見取引」とは、売主が自分で買主を見つけることを指します。

一般媒介は同時の複数の不動産会社に売却を依頼できるため、売主に有利な契約です。複数の営業担当者が同時に売り回ってくれるわけですから、早く高く売れる確率は高まります。会社が企業が営業部員を増員し、商品の販売強化をするのと同じ原理です。

また、不動産会社が受け取る仲介手数料は成功報酬であるため、売主は何社に依頼しても手数料は買主を決めてくれた一社にのみ支払えば良いことになっています。費用面でも不利な点はなく、売主が一般媒介で複数社に仲介を依頼することは極めて合理的なのです。

ところが、不動産会社にとっては一般媒介で依頼されると商売がしにくくなってしまいます。他社に物件を横取りされる可能性があり、仲介手数料も取れないことも多いです。

専任媒介や専属専任媒介であれば、1社で独占できるため、仲介手数料も確実に得ることができます。

そこで、不動産会社の営業担当者は、入社以来、専任媒介や専属専任媒介を獲得することが良いことだと叩き込まれます。不動産会社にとっては、専任媒介や専属専任媒介を獲得してくる営業担当者こそが優秀であるとされています。

そのため、不動産会社の営業担当者はあの手この手を使って、専任媒介や専属専任媒介に誘導しようとしてくるのです。

営業担当者の中には、「一般媒介で依頼すると不動産会社はやる気をなくして売れなくなりますよ」というような驚きの方便を使う人もいます。仕事をもらっている立場でやる気をなくすとは、よく言えたものです。

不動産会社は、必ずしも一般媒介だからやる気をなくす、専任媒介だからやる気が上がるということはありません。

不動産会社がやる気をなくすのは、安くて売却が困難な物件を依頼されたときです。逆にやる気が出るのは、高くてすぐに売れるような物件を依頼されたときになります。

高くてすぐに売れるような物件であれば、楽に多くの仲介手数料を得られるため、一般媒介であろうが専任媒介であろうが熱心に販売活動に取り組んでくれるのです。

売主としては安易に専任媒介や専属専任媒介を締結せず、一般媒介の可能性も十分に検討することが望ましいといえます。

2-3.しつこく営業してくる買取業者

詐欺ではありませんが、買取業者によるしつこい営業も存在します。手口としては、独り暮らしの老人の家に買取業者の営業担当者が2人で訪れ、深夜まで居座られて営業されるというものになります。

買取とは、転売を目的とする買取業者(不動産会社)への売却のことです。買取業者は、買い取って転売することで利益を上げます。

買取業者は、転売時により多くの利益を獲得するために、なんとか安く買おうとします。そのため、買取業者への売却は、仲介で売るよりも安くなることが通常です。

買取による売却価格の相場は、一般的に仲介の価格の80%程度とされています。しかしながら、悪徳な買取業者は仲介の価格の50~60%で買うこともあります。仲介の価格の50~60%で売ってしまったら、さすがに安く売り過ぎです。

まず、不動産を高く売りたいのであれば、仲介を選択する必要があります。仲介とは、不動産会社のあっせんにより直接最終消費者に売ることです。市場価格で売れるため、買い取りよりも高く売れます。

買取はすぐに売れるというメリットはありますが、例えば借金返済ですぐに売らなければならない等の特段の事情がなければ、そもそも買取を選択する必要はありません。

また、買取を選択する場合は、複数の買取業者に査定を依頼することが望ましいです。買取の査定は、不動産会社がその価格で買うことを保証している価格になります。仲介の査定のように売却を保証しない価格ではないため、意味合いが大きく異なります。

買取では、極力多くの買取業者に査定を依頼し、高く買い取ってくれる買取業者を見つけることが詐欺にあわないための売り方です。

3.購入で見られる詐欺まがいの手口

購入で見られる詐欺まがいの手口

購入で見られる詐欺まがいの手口について解説します。

3-1.投資用マンションの営業電話

投資用マンションのしつこい営業電話というのは、よくある手口といえます。投資用マンションの購入で騙されてしまうのは、20代の若い人が多いようです。

投資用マンションの手口には、路上でアンケートへの回答や名刺交換に応じたら、その後しつこく購入の勧誘を受けるといったものがあります。勧誘された相手に会うと、深夜まで拘束され怖くて契約してしまうこともあるようです。

営業電話で売られているような投資用マンションは、恐ろしく収益性の低いものばかりです。平気で月数千円しかプラスにならないものを売りつけてくるため、話になりません。ちょっとでも空室や賃料下落が発生したら、マイナスとなるリスクの高い物件ばかりです。

怪しい営業電話というのは、電話してくる人の背後が騒がしいことがよくあります。詐欺グループは缶詰め状態で組織的に電話をかけまくっているため、背後の騒がしさを感じ取ったら警戒すべきです。

怪しいと思ったらすぐに電話を切り、着信拒否にして相手にも決して会わないことが適切な対応といえます。

3-2.捨て看板

捨て看板とは、電柱や街路樹に貼られたチラシのことです。「格安2LDKマンション 2,000万円 連絡先として携帯電話の番号」のようなチラシが捨て看板になります。捨て看板は、自分が物件を探しているエリアに貼りだされていると、興味を持って連絡してみようかと思ってしまいます。

しかしながら、連絡先に電話をしてみても、そのチラシに書いてある物件は存在しないことが多いです。チラシを出している不動産会社に行ってみると、別の物件を売りつけられてしまう可能性もあります。

捨て看板自体は詐欺ではありませんが、違法であることが多いです。捨て看板は、景観上の問題から条例で禁止している自治体もあります。

また、存在しない物件の広告は「おとり広告」と呼ばれ、宅地建物取引業法で禁止されています。違法なことをして顧客を集めている可能性が高いので、捨て看板の業者には連絡しない方が良いのです。

4.賃貸で見られる詐欺まがいの手口

賃貸で見られる詐欺まがいの手口 賃貸で見られる詐欺まがいの手口について解説します。

4-1.サブリースだから安心という勧誘

賃貸では、地主に対して「サブリースだから安心です」という詐欺まがいの勧誘をして強引に土地活用をさせるという手口もあります。

サブリースとは、家賃保証または空室保証とも呼ばれる管理方式のことです。サブリース会社がアパート一棟を借り上げ、空室が発生しても貸主に対してサブリース会社が固定の賃料を払うという管理方式になります。

しかしながら、サブリースであっても空室が多く発生すれば、貸主に対してサブリース会社から家賃の減額要求があり家賃は下がります。

しかも、サブリース会社による賃料減額請求権は、最高裁の判例でも認められている権利となっています。

サブリースであっても空室が増えれば家賃が下がっていきますので、サブリースだから安心ということはあり得ないのです。

4-2.借主への過剰な原状回復費用の請求

賃貸物件では、借主が退去時に剰な原状回復費用が請求されるといった詐欺まがいの行為もあります。

原状回復とは、借主の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、借主の故意(わざと)・過失(うっかり)、善管注意義務違反(注:一般的・客観的に求められる程度の注意義務に違反すること)、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧することです。

自然損耗や経年劣化は原状回復義務の対象ではなく、賃貸借契約書に特約がなければ原状回復しなくても良いことになっています。

借主が原状回復しなくても良い自然損耗や経年劣化には、以下のようなものが挙げられます。

【原状回復の対象外となるもの】

・画鋲の穴
・ポスターや絵画を壁に貼った跡
・日焼けによる畳やクロスの変色
・家具の設置によるカーペットの凹み

例えば、壁のクロスを故意や過失によって汚損していないにもかかわらず、全てのクロスの張り替え費用を全額要求されたら、過剰な要求です。

原状回復は、借主自身も請求できる範囲を理解していない人が多いことも、過剰な要求の原因となっています。

原状回復に関しては、国土交通省が示す「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に従って対応することが適切です。 過剰な要求と思えたら、ガイドランも参考しながら要求内容をチェックしてみてください。

5.詐欺にあったらどこに相談すべき?

詐欺にあったらどこに相談すべき?

詐欺にあっていると感じたら、会社名などを記録して、まずは「消費生活センター」に相談することをおすすめします。 消費者ホットラインは「188」です。 専門の相談員が相談を受け付けてくれます。また、消費生活センターの電話がつながらない場合、国民生活センターの「平日バックアップ相談」というものがあります。

国民生活センターの「平日バックアップ相談」の連絡先は以下のホームページに記載されています。

国民生活センターの「平日バックアップ相談」

詐欺にあったことが明らかで、弁護士を探している場合は、「法テラス」で無料相談が可能です。ただし。法テラスのスタッフが相談内容をヒアリングし、弁護士を紹介してもらうことができます。

法テラス

まとめ

以上、不動産詐欺について解説してきました。 不動産詐欺には、「原野商法の二次被害」や「住宅ローンの不正利用」等がありました。 その他、詐欺ではありませんが「査定価格を高めに出す」というような詐欺まがいの行為にも注意が必要です。

騙されていると感じたら、早めに消費者ホットライン等に相談し、被害を未然に防ぐようにしましょう。

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執筆
不動産鑑定士、宅地建物取引士
竹内英二

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。大手ディベロッパーで長く不動産開発に関わってきたことから土地活用や賃貸借を得意としている。普段は不動産鑑定業だけではなく、法人や個人を問わず貸主や借主からの相談も多く受けている。大阪大学出身。

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