【値上げ】ガス代が高い…今後いつまで続く?ガス料金高騰の理由とは

2022年から2023年にかけて、電気料金に加えガス料金の急騰に頭を抱えた人も多かったのではないでしょうか。この記事では、ガス料金の値上げはなぜ起こったのか、さらに値上げはいつまで続くのか、今後の見通しなどを解説します。
ガス料金が決まる仕組みや、ガス料金の変動が起こる理由を知るとともに、家庭でできる簡単なガスの節約にも取り組みましょう。
1. ガス料金値上げはまだ止まらない!?
都市ガス大手の東京ガス、大阪ガスは、原料価格の高騰を背景に2023年1月のガス料金を値上げしました。東京ガス、大阪ガスの都市ガス大手2社の動向は業界に強い影響を及ぼすことから、消費者からは今後ガス料金を値上げする会社がさらに増えるのではないかと心配する声があがりました。
すでに電気代の高騰で家計に占める光熱費負担が高まるなか、ガス料金も電気料金同様に右肩上がりを続けるようであれば、利用控えなど日常生活への影響も懸念されます。
ガス料金、この3年間の推移を見ると
ガス料金の推移を、基幹統計調査「小売物価統計調査」を用いて確認してみましょう。対象は東京23区における毎月の都市ガス代で、2020年1月から2022年12月までの36ヵ月間を表しています。
グラフで見ると、2022年は毎月のように前月比のガス代が上がっていることが分かり、特に9月以降は急激に値上げ幅が増えています。ガス代の急上昇が身に染みて分かるデータです。
出典:総務省「小売物価統計調査」
ガス料金の値上げはいつまで続く?
幸い、2023年1月以降の使用分(2月以降の請求分)からは、エネルギー価格高騰を受けた国の負担緩和策(電気・ガス価格激変緩和対策事業)が適用されることから短期的には値下げに向かうガス代ですが、原料価格の上昇など不安材料もあり今後については予断を許さない状況です。
愛知県を拠点とする日本4大都市ガスのひとつ、東邦ガスでは、原料価格の上昇分を価格に転嫁できる「上限」を、2023年4月分から一部プランで撤廃すると発表しています。価格転嫁の上限キャップが外れるということは、上昇分は消費者がすべて負担するということですから、結果としてガス料金の値上げにつながると見込まれています。
値上げラッシュが続く今、家計の見直しに取り組みましょう。
特に持ち家にお住まいの方は、保険料を払いすぎている可能性があることをご存じですか?
住宅ローンを組む際、ほとんどが加入する団体信用生命保険(団信)と、それ以前から加入している生命保険とで、保障内容が重なっている場合があります。知らず知らずのうちに、支払う必要のない保険料を支払っている可能性があるのです。家を購入したら、早めに保険を見直しましょう。
2.ガス料金の値上げはいつから始まった?
いつからガス料金はこんなにも高くなったのでしょうか。再び「小売物価統計調査」から、東京23区の都市ガス代の平均価格を過去5年にわたってさかのぼってみましょう。
年月 | 価格 | 対前年比 |
---|---|---|
2022年12月 | 7,129円 | 135.0% |
2021年12月 | 5,279円 | 115.0% |
2020年12月 | 4,589円 | 89.5% |
2019年12月 | 5,130円 | 98.7% |
2018年12月 | 5,196円 | --- |
この5年間では、2021年に入ってから対前年の値上げ率がプラスになっています。さらに2022年の対前年の値上げ率は35.0%と急騰しています。2年前の2020年と比べると値上げ率は55.3%にもなり、ひと月の支払いはこの2年間で2500円以上も増えていることが分かります。
3. ガス料金の仕組み
ガス料金はなぜこの数年でこれほどまでに値上げしたのでしょうか。その背景を解説する前に、ガス料金がどのように決まるのかを理解しておきましょう。
ガス料金の変動には原料の調達コストが影響
ガスの原料は、都市ガスは液化天然ガス(LNG)、プロパンガス(lpガス)は液化石油ガス(LPG)が主なものであり、どちらも調達の大半は海外からの輸入に頼っています。原料費が上がったり、為替の影響(円安)で円換算時の調達コストが上昇すると、ガス料金に影響が出ます。
ガス料金の設定
一般的なガス料金は「基本料金+従量料金」で決まります。従量料金はガス使用量に応じたもので、「従量料金=単位料金×ガス使用量」となります。この単位料金を構成するのが「従量料金単価±原料費調整額」です。このうち原料費調整額は、原料調達コストの影響を受け変動します。そのため、同じ使用料であっても原料調達コストが高いときは、消費者の支払うガス料金も高くなるという仕組みになっています。
原料費調整額の役割と今後の動向
これまで原料費調整額は、ガス会社が独自に上限を設定し、超過分はガス会社が負担することでガス料金の急激な値上がりを防ぐ役割を果たしていました。
しかし、現在多くのガス会社がこの上限設定を引き上げたり撤廃する動きにあります。すでに撤廃を決めた会社も多く、その場合、原料費調整額の増額分はそのままガス料金となって消費者が負担することになるのです。
4. ガス料金値上げの理由
「小売物価統計調査」では、東京23区のガス料金の支払価格は2年前と比べ50%以上も上昇していました。これほどまでにガス料金が値上げしている理由にはどのようなことが考えられるのでしょうか。その背景には、前章で解説した原料の調達コストが大きく影響しています。
円安の影響
ガスの原料を海外からの輸入に頼っている以上、円安になると調達コストは上昇せざるを得ません。昨今の急激な円安がガス料金の値上がりに多大な影響を及ぼしていることは明らかです。
ロシアのウクライナ侵攻の影響
2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻もガス料金の値上げと無関係ではありません。侵攻が始まった直後、原油価格は高騰しました。原油価格が上がると、そこから原料を得ているプロパンガスの価格も上がらざるを得ません。
現在、原油価格は落ち着きを取り戻していますが、今後のロシア・ウクライナ情勢によっては再度高騰する可能性も否定はできません。
一方、都市ガスの原料であるLNGはウクライナ侵攻の前から世界的に値上がり傾向になりました。侵攻が後押しする形で、2022年上半期のLNG価格はヨーロッパを中心に急上昇しました。
2022年後半は大きく値を下げていますが、当初の水準に戻るまでには至っていません。また紛争が長期化し経済制裁の一環としてLNGの脱ロシア化が進むようであれば、限りある資源を巡って各国との競争となり、今後の日本のLNG価格にも影響を及ぼすかもしれません。
5. ガス値上げの対策
世界情勢などを受けて2年前と比べると爆上げともいえる今のガス代。家計への負担が大きくなる中、少しでもガス代を抑えて節約につなげたいものです。そのためにできる対策をいくつかご紹介します。
お風呂・キッチンでの使い方
ガスを使ってお風呂・キッチンを利用する家も多いでしょう。お風呂・キッチンのガス使用量を減らせばガス代も抑えられるはずです。
お風呂は湯を沸かす回数、量、頻度がポイントです。お風呂に入る回数を減らせれば効果は大きいですが、難しい場合は量、頻度を検討してみましょう。
特に、家族で暮らしているならお風呂を利用する時間帯を集中させるようにすることが大切です。そうすることで湯の継ぎ足しや追い炊きなどガスの使用量を抑えることができます。どうしても家族での利用時間が開いてしまうなら、保温効果の高い浴槽の蓋を使うなどの工夫をしましょう。
キッチンでは、見落とされがちな使い方の工夫で節約をすることができます。ガスコンロで調理をする際、火が鍋底からはみ出している様子を目にしたことはないでしょうか。強火にしているときにありがちな光景ですが、実はこのはみ出ている火はほとんど調理の役には立っていません。
底の広い鍋やフライパンを使う、または火力を調理器具の大きさに合わせるなど、エネルギーが無駄にならないようにしましょう。
契約会社、内容の見直し
プロパンガスであれば会社ごとに料金が設定されていて、使用量が少ないときにお得な会社、使用量が多いときにお得な会社があります。自分のスタイルではどの会社が安くなるのか、複数の会社を比べてみると良いでしょう。
都市ガスでは会社変更は難しいことが多いですが、契約プランにバリエーションがあるなら最適なものになっているか確認しましょう。
また、料金の支払い方法を口座振替からクレジットカードに変えてカード会社の還元ポイントを得るといった地道な節約の仕方もあります。
電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金の利用
世帯全員が令和4年度「住民税均等割が非課税」の世帯、または令和4年1月~12月の収入が減少し「住民税非課税相当」の収入となった世帯(家計急変世帯)に対して市区町村が給付金を支給する制度です。
前者に該当する場合は市区町村から確認書が届くので、それに返信することで手続きとなりますが、後者は自身で申請手続きを行う必要があります。申請期限は市区町村によって異なるため、事前に確認をしましょう。支給額は1世帯あたり5万円です。
持ち家なら保険の見直しで節約になるかも
値上げラッシュが続く今、家計の見直しに取り組みましょう。
特に持ち家にお住まいの方は、保険料を払いすぎている可能性があります。
住宅ローンを組む時に加入する団体信用生命保険(団信)と、それ以前から加入している生命保険とで、保険料の二重払いになる可能性があります。すでに住宅ローンの返済が始まっている人は、できるだけ早く保険内容を見直すことで、無駄に支払う保険料を減らすことができます。

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