【2023年最新】電気代の値上げはいつまで続く?電気料金高騰の理由を解説

2022年は電気代の値上げが顕著な年でした。毎月の電気料金の明細に驚いた人も多かったのではないでしょうか。2023年4月以降も電気代の値上げは続くのか、電気料金が高騰している理由は何なのか。電気代の値上げについて状況を整理しましょう。
(2023年3月18日更新)
1. 電気代はどれくらい値上がりしているのか
2022年、多くのメディアが電気代値上げを報じました。高い電気料金に悲鳴を上げている人も多いと思いますが、いつから電気料金はこんなにも高い金額になったのでしょうか。東京電力がホームページで公開している「平均モデルの電気料金」で、いつから、またどのくらいの値上げ幅で電気料金が推移しているのか、確認してみましょう。
出典:東京電力「平均モデルの電気料金」
このグラフからは、電気代値上げは2022年に急に起こったのではなく、2021年から連続して価格が高騰し続けていることが分かります。この時期は電気のみならずガス代も高騰していたので家計にとってはまさにダブルパンチ。電気代の値上げはいつまで続くのか?多くの家庭が気に掛けていることでしょう。
2023年4月の電気代値上げは先送りへ
電気代の値上げはいつまで続くのでしょうか。
大手電力会社10社中7社は、2023年4月以降に家庭向け電気料金の値上げを国に申請していました。申請された値上げ幅は28~45%です。
▼2023年4月~値上げを申請
東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力
▼2023年6月~値上げを申請
東京電力、北海道電力
しかし、電気料金値上げの許可を出す経済産業省は、値上げの原因となる燃料価格が下落傾向にあることなどから、各電力会社に対して"値上げ幅を小さくしてから申請し直すように"と指示を出すことが決まったと報じられています。(2023年3月18日時点)
つまり、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力が予定していた2023年4月からの値上げは、先送りされる見通しです。
ただ、経済産業省の指示はあくまでも「値上げ幅を小さくするように」というものなので、新年度を迎える4月には電気代が安くなる、ということにはならなそうです。
また、2023年2月検針分からは、政府の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」によって電気代、ガス代の家計負担は軽減されています。
しかし、政府は2023年9月使用分からは補助額を半減することにしているため、そこに各電力会社の値上げが加わると、結果として家庭の負担はますます増えることになります。
特に持ち家にお住まいの方は、保険料を払いすぎている可能性があることをご存じですか?
住宅ローンを組む際、ほとんどが加入する団体信用生命保険(団信)と、それ以前から加入している生命保険とで、保障内容が重なっている場合があります。知らず知らずのうちに、支払う必要のない保険料を支払っている可能性があるのです。家を購入したら、早めに保険を見直しましょう。
2. 電気料金の仕組み
電気料金の値上がりが気になる今、電気料金がどのような仕組みで成り立っているのかを知ると値上げの背景が分かるかもしれません。
電気代値上げは「燃料の調達コスト」が関係
一般的な電気料金は、「基本料金」、「電力量料金」、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の3項目を合計したものです。
電気料金=「基本料金」+「電力量料金」+「再生可能エネルギー発電促進賦課金」
基本料金は毎月定額で、電力量料金と再生可能エネルギー発電促進賦課金は1ヵ月の使用電力量に応じて変動します。
昨今の電気代の値上げは、「電力量料金」に含まれる燃料費調整単価が上がっているためです。燃料費調整単価は、電気をつくるために必要な燃料の調達コストに応じて決まります。燃料の調達コストが高騰し、燃料費調整単価が上がると、使用料は同じでも消費者が負担する電気量の総額は上がります。今がまさにその状態です。
電気料金の「上限」撤廃の動きも
これまで電気はその公共性の高さから、燃料代が高騰しても消費者が払う電気代が際限なしに上がることがないよう「規制料金」を設けていました。
規制料金は、燃料費調整単価に上限を設定し、上限を超えた分は電力会社の負担とする仕組みです。
規制料金と対をなすものとして電力自由化以降に「自由料金」プランが登場しました。自由料金は「規制料金」のように法的制限を受けません。自由料金による電気料金プランは燃料費調整単価に上限を設定しているものもあれば、上限がそもそも設定されていないものもあります。
今回の燃料費の高騰を受け、自由料金で上限設定を設けていたプランが、上限設定を撤廃するという動きも多く見られました。また、規制料金のプランであっても、電力会社が経済産業大臣に規制料金の値上げを申請し承認されれば、消費者は値上げ後を受け入れざるを得ません。
3. 電気料金値上げの理由は
電気料金が高騰する理由に燃料の調達コストが関係していることが分かりました。では、なぜ燃料の調達コストは上がっているのでしょうか。直接的な原因は天然ガス(LNG)や化石燃料の高騰であり、その原因を作った代表的な理由がロシアによるウクライナ侵攻、円安、新型コロナからの回復です。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響
ロシアは天然ガスの輸出額世界1位(2021年)、石油輸出額世界2位(2021年)の資源大国です。しかしウクライナへの侵攻後、欧米諸国はロシアへの経済制裁の一環として、ロシアからの資源供給を抑える動きを取っています。
そのため国際的なエネルギーの争奪戦が起こり、これらの価格は高騰しました。今後のロシアの動き次第では、さらなる緊張も予想さます。
新型コロナからの回復
2022年は新型コロナからの回復途上にあり、全世界的に経済が活況を取り戻す渦中にありました。燃料需要が増えるなかで、供給不足、供給の不安定さが燃料費の高騰をもたらしたとも言えるでしょう。
円安の影響
日本に関しては2022年に起こった急激な円安も忘れるわけにはいきません。円が安くなれば、海外からの輸入はコストがかさみます。一時期の急激な円安状態からは解放されましたがが、今後円は持ち直しを図るのかどうかは不透明な状況です。このように円相場もまた消費者が負担する電気代に関わってくるのです。
なぜ、電気代が高騰しているのか。グローバル社会によって及ぼされる影響がイメージできたのではないでしょうか。消費者としてはいつまでもこの状況が続かないことを願うばかりです。
4. 新電力会社の倒産・撤退が相次ぐ
燃料費高騰のあおりを受けて、電力自由化後に業界に算入した新電力会社の倒産や事業撤退が起こっています。新電力会社は安さを売りに業界でのポジションを得てきました。
そのため上昇する調達価格を販売価格に転嫁できず、売れば売るほど赤字という悪循環にはまっている会社も少なくありません。新電力会社と契約をしている家庭では、今後の価格への影響や、会社の経営状態に対する注意が必要です。
5. 電気代値上げの対策
家庭でできる電気代値上げへの対策は、電気の使用量を減らすことです。電気代節約として気軽にできる方法としては次のようなものがあります。
家電製品の使い方の見直し
エアコン、テレビ、冷蔵庫など家電製品は使わないときはこまめに電源を切る、設定温度を必要以上に高く(低く)しない、などがあります。
省エネ家電への切り替え
家電製品の切り替えの時期にあるならば、省エネ性能の高い家電の購入を検討してみましょう。消費者の省エネへの関心は非常に高く、メーカー各社は省エネ性能を競うように新商品を展開しています。
電力会社、電気料金プランの見直し
電気の使用量を抑え、電気代節約をしたうえで、電気の使い方、使用量がどのようになっているか一度確認してみましょう。使い方にあった電気料金プランや電力会社が見つかれば、切り替えを検討してもいいかもしれません。
持ち家なら保険の見直しで節約になるかも
値上げラッシュが続く今、家計の見直しに取り組みましょう。
特に持ち家にお住まいの方は、保険料を払いすぎている可能性があります。
住宅ローンを組む時に加入する団体信用生命保険(団信)と、それ以前から加入している生命保険とで、保険料の二重払いになる可能性があります。すでに住宅ローンの返済が始まっている人は、できるだけ早く保険内容を見直すことで、無駄に支払う保険料を減らすことができます。

マイホーム購入のダンドリ、不動産売却にかかる費用、賃貸物件の探し方など、住まいの基礎知識から契約、税金といった専門的な内容までわかりやすく解説。宅地建物取引士や司法書士、税理士、FPなどの不動産・お金の専門家が、監修・執筆した記事を配信しています。
コンテンツポリシー