「新子育て安心プラン」における児童手当改正の理由と共働き世帯の対処法

「新子育て安心プラン」における児童手当改正の理由と共働き世帯の対処法

こんにちは。キッズ・マネー・ステーション認定講師、ファイナンシャル・プランナーの田端沙織です。

2020年11月中旬に、児童手当の特例給付の廃止や、所得制限の算定基準を世帯で所得の多い人のみから世帯全体の所得に変更するという案が発表されました。児童手当を受け取っている子育て世帯がざわついたことは記憶に新しいのではないでしょうか。

かくいう私も、15歳以下の子ども3人の子育て中で児童手当を受け取っている世帯なので、心穏やかではありませんでした。

最終的に児童手当の改定を含む「新子育て安心プラン」として、厚生労働省は2020年12月21日に正式に内容を発表しましたが、いったいどのような内容なのでしょうか。そして、「新子育て安心プラン」を進めるにあたり、児童手当改定の理由と共働き世帯が将来に向けてしておきたい対処法について解説します。

「新子育て安心プラン」とは

2020年12月21日に、厚生労働省は待機児童解消を目的とする「新子育て安心プラン」を公表しました。25歳~44歳の女性の就業率の上昇に伴い、待機児童問題の改善目標として令和3年から令和6年の4年間で約14万人分の保育の受け皿を整備するプランになります。

子どもを産んでも保育園に子どもが入れなければ仕事に復帰できませんので、待機児童の解消は子育てしながら働く世帯にとって大切な取り組みになります。

プランの支援ポイントは、大きくわけて以下の3つになります。

地域の特性に応じた支援

  • とくに保育ニーズが増加している地域の自治体へ、保育所整備費等の補助率を上げる
  • 保育コンシェルジュによる相談支援や、巡回バス等による送迎支援の拡充

魅力向上を通じた保育士の確保

  • 保育補助者の活躍促進や補助要件の撤廃
  • 保育士・保育所支援センターの機能強化や、短時間勤務の保育士の活躍促進

地域のあらゆる子育て資源の活用

  • 幼稚園の空きスペースでの預かり保育や小規模保育の実施
  • ベビーシッターの利用料助成の非課税化

プランの詳細については、『厚生労働省の「新子育て安心プラン」の公表について』をご覧ください。

これらのプランの実現に必要となる財源は約1,440億円で、うち約1,000億円は経済界に協力を求め事業主拠出金を充当します。残りの440億円は、児童手当の特例給付の見直しにより生じる財源等を充当する予定です。

児童手当改定の理由

2020年12月15日に児童手当の改定が決まりましたが、改定により捻出される440億円を「新子育て安心プラン」の財源に充てることになります。

児童手当の改定は色々な論議がされましたが、最終的に2022年10月の支給分から「夫婦のうち高い方の年収」が1200万円以上の場合は、児童1人につき月額一律5,000円が支給されていた特例給付がなくなる予定です。

待機児童解消のための財源を子育て世帯への給付金から回すというのも、大きなくくりで見ると子どものための予算の中で融通しているだけなので、子育て支援の総額を増やさないと少子化解決へ道は険しいのではないでしょうか。

そもそも児童手当は子供のためのもの。親の所得に関係なく平等に給付して欲しいと個人的には願っています。

今後も児童手当については所得制限の算定基準の変更や、給付金額の変更もあり得るかもしれません。そんな将来を見据えて、子育て世帯、特に共働き世帯はどのように対処していけばいいのでしょうか。

共働き世帯は、今後どう対処していく?

児童手当の改正に関して「夫婦のうち高い方の年収」が1200万円以下の場合は影響がない予定です。しかし、今回は見送られたものの、算定基準を世帯全体の所得に変更することが引き続き検討されるそうです。

共働き世帯がメインの日本では、児童手当を受け取る基準が世帯年収で算定されてしまうと、基準年収や扶養している子どもの数にもよりますが、一定数受け取れない世帯も増えることが予想されます。

共働き世帯ができる対処としては、児童手当に頼る家計ではなく貰えたら予備費として備えておけるくらいの心構えでいた方が、将来児童手当が減額される、または支給されなくなっても家計として健全に運営していけるのではないでしょうか。

現状では、児童手当すべてを貯めると子ども1人につき約200万円になります。この金額を教育費に充てる計算をして教育費を貯めているご家庭も多いかと思います。

しかし、可能であれば児童手当は想定の半額または全額給付されないくらい厳しめの見通しで教育費が用意できるように、貯蓄または資産運用計画を練り直すことをお勧めします。

今後児童手当の見直し案が子育て世帯に不利な条件になりそうな時は、政府にきちんと意見を届けることも大事です。まずはご自身ができることから始めて、児童手当の制度が変更されてもお金の不安が少しでも減るように少しづつ改善していけたらいいですね。

執筆者:田端 沙織
キッズ・マネー・ステーション認定講師/ファイナンシャル・プランナー
証券・運用会社で10年以上の勤務経験を活かし、FPサテライト(株)所属ファイナンシャルプランナー兼金融教育講師として、「正しく・楽しく・分かりやすく」お金のことや資産運用について伝える活動をしています。得意分野は資産運用。2男1女を絶賛子育て中。

キッズ・マネー・ステーション

キッズ・マネー・ステーションとは、「見えないお金」が増えている現代社会の子どもたちに、物やお金の大切さを知り「自立する力」を持ってほしいという想いで設立。全国に約160名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行います。2018年までに1000件以上の講座実績を持っています。